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コントラクトはこのルシリールの伝統の様なもので、年齢が近い男女が契約の儀式を行い、見事成功した男女は世界を一回りし、このルシリールに戻ってくる事が出来た男女は生涯永遠に結ばれると言われている
…しかし、俺はこのルシリールに18歳になるまで住んでいるが、契約の儀式を行なって帰ってきた男女を見た事は一度も無い
当たり前といえば当たり前だ。今世界のあちこちで戦争をしているんだ。そんな中世界中を回るなんてはっきり言って死んでくれと言ってる様なものだ
それにも関わらずこの国は毎年この儀式を続けている
もはや狂気といって良いだろう
一体何が目的なのか…俺には分からない
お祭りの日という事もあり演習は今日一日休みとなっているので、俺は街にやってきていた。そこで俺は小さいからからお世話になっているカフェに足を運んだ
「あら、いらっしゃいレギルちゃん」
レギル「こんにちは、-マーゼリ-おばさん」
この人はこのカフェを営むマーゼリさん
俺が子供の頃からの付き合いで、演習が終わるとよくこのカフェに足を運んでいる
マーゼリ「今日はどこもお祭り騒ぎね」
レギル「皆今日が来るのを楽しみにしてましたからね」
マーゼリ「レギルちゃんも楽しみにしてたでしょ?」
レギル「ん〜、楽しみ半分、そうでもないが半分ですね…」
マーゼリ「あら、どうして?」
レギル「確かに祭りは楽しいですし街の人達も盛り上がっているのは良い事だと思います。ただ…またあの契約の儀式があるのかと思うとあまり楽しめないんですよね…」
マーゼリ「あぁ…そうだレギルちゃん、今年の儀式なんだけど、今回はいつもと違うみたいなの」
レギル「え?」
マーゼリ「なんでも今回は女の子が予め決められていて、この街の子じゃないみたいなの。その女の子と契約が出来た者が世界を巡る事になるみたいなのよ」
レギル「へぇ〜しかし何故そんな事に?」
マーゼリ「この祭りの事を聞いたどこかのお金持ちが自分の娘と儀式に出してくれって頼み込んできたらしいわ」
レギル「なっ…!自分の娘をこの儀式に参加させるなんて!」
マーゼリ「私もそう思うわ。自分の可愛い娘を危険な目に合わせるなんて…私なら考えられないわ」
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