83人が本棚に入れています
本棚に追加
❇︎❇︎❇︎❇︎
クリスマスに翔太のライブには母と二人で行った。翔太は母にも手渡しでチケットを渡していた。
恵子さんには絶対来て欲しいって言って。
そして、盛り上がりを見せたらライブを終えて外に出たら、会場のすぐ傍で、私はずっと気がかりだった人に出会う。
「あら、あなた!」
先に声を上げたのは母だった。
紺色の下地にアーガイル柄を刺繍したセーターに、膝下丈のダッフルコート、栗色のマッシュボブの前髪をピンで留めている。色白の肌に褐色の丸みを帯びた瞳。
可愛い!!
めちゃくちゃ可愛い!!
のだが……
「あ、こんばんは。」
声がハスキー。そんでもって、身長が翔太並みに高い。
どこからどう見ても……
「初めまして。磯村ハルです。」
私に差し出す手も、どちらかと言うとゴツゴツしている。
「ハルちゃん!!」
「ハルちゃんだなんて、よしてくださいよ。ハルくんでお願いします。」
「男!?嘘!?だって翔太……」
いや、女の子とは言ってなかったっけ……でも……
「お母さん、可愛いって言ったよね!?ハルちゃん、じゃなくて、ハルくんのこと!」
「えー?だって可愛いじゃない。」
「うっ……」
確かに否定できない。
「お母さん、男の子って知ってたよね?」
「もちろん。」
「どうして私に教えてくれなかったの!?私が勘違いしてるって分かってたよね?」
「それは、そっちの方が面白いかなって。」
面白いって!!信じられない!!
最初のコメントを投稿しよう!