どこにも行けない どこにも行かない

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山之内先生が去ったのをきちんと確認してから、須賀先生が私に深々と頭を下げた。 「ごめんなさい!」 「な、何?」 「今日、彼氏とデートなの。だから、定時で出たくて……」 つまり、この作業は一人でしてくれないかなってことだよね? てか! 「須賀先生、彼氏いたの!?だって、伊勢谷先生のこと……」 かっこいいって言ってたよね?お近付きになりたい的な感じに。 「それとこれは別よ!彼は彼。職場の癒しは癒しで欲しいでしょ?彼がいても素敵な男性にキュンとするのは仕方ないことじゃない。」 「いやいや、それいいの?」 心の浮気じゃないのか? 「もう!河辺先生って堅いんだから。本当に根っからの教師なのね。」 「……。」 そう言うわけじゃないんだけど。 なんかなぁ…… 恋愛経験少ないからそう思うのかな。 好きな人にはやましいことはしたくないって思うのは。
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