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と、思っていたのに。
「ちょっと待って。」
嘘!?
松田くんが走って追いかけてくる。
「いや、来ないで!!」
追いかけられるなら逃げるしかない。道なんて選んでる場合じゃなくて、2年生の教室がある方に走っていた。全速力なのに、全然松田くんを振り切れる気がしない。
「えっ?松田くんと青山さん?」
「なに?どうしたの?」
ざわざわと廊下が騒がしくなり始める。周りから見たら謎でしかない私と松田くんの追いかけっこの傍聴者が増えていく。
「サッカー部に足で敵うと思うなよ。」
そう聞こえた瞬間、松田くんに背後から抱き止められていた。
「やだ!離して!バカ!」
「きゃーっ!」って廊下に女の子たちの黄色い声が響き渡る。
「離さない。」
「……。」
「こんなの付けて、本気で別れたいって言ってんの?」
私の後首とネックレスの鎖との間に松田くんの人差し指が入る。
「だって…だって…私ばかり好きなんだもん。こんな片思い辛い。」
「片思いって……」
松田くんが溜息を吐く。私たちの周りに人集りができている。
「戻ろう。お腹空いた。」
絶対離してくれないであろうぐらい強い手に引っ張られて、私は松田くんに最初にいた地点に連れ戻された。
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