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お腹空いてるんじゃなかったの?
って言いたい。言えるわけないけど。
壁にもたれて床に座る松田くんの膝の間に、私は彼に背中を預ける状態で座らされ、腰の辺りをぎゅって抱きしめられている。
「あんな始まりだったから、少し気にはしてたんだけど……」
後頭部の辺りに彼の唇が触れるのを感じる。
「伝わってると思ってたんだけど、俺の気持ち。」
「うーッ!!」
どうしたらいいの?こんなの風船みたいに胸が破裂する。
「知ってたよ、舞香のこと。」
「……えっ?」
「同じクラスになる前から。」
同じクラスになる前から?どう言うこと?
「図書室からいつも俺らの練習を見てる子がいるなぁって。サッカーが好きなのかなぁって。」
「なっ、なっ……」
何てこと!!気付かれていた!!でも、ここでサッカーが好きなのかなって思考に結び付くところ!こんなところで天然を発揮!
「そうしたら、神谷と部活でよく一緒にいるのを見るようになって。あの子じゃんって。」
こっちは知りもしないだろうと思っていたのに、松田くんが私のことを知っていたこと。
どうしよう……とてつもなく嬉しい……。
「そんなある日、ぶつかったわけ。すごく緊張してて、顔も真っ赤でなんか可愛いなぁって思った。」
「それは……!ずっと好きだったから!好きな人とぶつかったら、誰だってそうなるでしょ!」
「えっ?ずっと好き?俺のこと?」
まさかの天然がここでも炸裂。
「好きだから見てたの!図書室から!正しくは図書室で見ていたら好きになったの!サッカーをする姿も友だちと笑い合う姿も、時折見せる感情を押し殺した顔も全部気になっていた。」
言ってから後悔。時間を巻き戻したい。図書室から見ていたなんてストーカーじゃん!!
「何それ。可愛い過ぎ。」
ぐっと顎の辺りを掴まれたがすぐ、松田くんの唇が触れてキスされていた。
頭の思考はショートした。胸は破裂したと言ってもいい。
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