自分だけが片思い?

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「た、棚橋先生!?」 ドアのところに腕組みをした棚橋先生が立っている。 「あ、タナハッシー、お疲れ様。」 いやいや、松田くん、お疲れ様とか言ってる場合じゃないから。この状況!!床に座って抱き合ってる私たち!! 「宮田といい、松田といい、学校で彼女に手を出すな!!」 「何?成海もそんなことしてるの?」 「2回程出会した。」 「まぁ、俺も成海も彼女を溺愛するタイプだから仕方ないよ。」 彼女。仮彼女じゃない彼女。 「昼休みに色々あったことは何となく知ってるし、俺は無駄な生徒指導はしたくない。今日だけは見逃してやるから、今度から場所を選べ。」 「先生、ありがとう。見逃しついでに、俺ら、昼ご飯まだなの。5時間目、ここでご飯を食べてもいい?」 「松田……お前なぁ……」 松田くんが棚橋先生と仲が良いのは知っているけど、この状況は私が恥ずかしい。 「松田くん……手、離して…」 「あー……どうしようかな。」 ど、どうしようかな!? 「だって、次、いつこうやって抱きしめられるか分からないし。」 だから、先生の前でしれっと何を言ってるの!? 「松田!!そんなこと言ってたら、昼ご飯の許可、取り消すからな!!」 「冗談だよ。昼ご飯の許可、ありがとうございます。」 松田くんの手が緩んで、私はようやく一定の距離を保つことができた。 でも、手が離れる前に棚橋先生に聞こえない声で松田くんが囁いてくれた。 「大好きだよ、舞香」 って。
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