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あっ……またいる……
屋上までの階段を登りきって、小さく溜息をついた。
苦手な人。
明る過ぎて太陽みたいに眩しい。
私とは正反対。
屋上のど真ん中で大の字になって寝転がっている。
間宮礼央(マミヤ レオ)
ここでバイトとして働いている。今年17歳になるそうで、通信制の高校には通っているらしい。真緑の髪をしていて、パートさんたちの話では、友だちとバンドをしているそうだ。
一応、私よりも一年早くここで働いているので、職種は違うが彼の方が先輩と言えば先輩になる。
いつも笑顔を絶やさない間宮くん。話すのも聞くのも上手だし、顔も子犬のように可愛らしくて、我が社のアイドル的存在だ。
でも、私は苦手。
明るくて見てると目がチカチカする。
気付かれないように彼の横を通り過ぎようとしたら、
「新内さん、お疲れ様。」
と、その姿勢のまま挨拶された。
「……お疲れ様……」
何で寝転がっているのと聞きたくなったが、聞いていいのか分からず、言葉にはならなかった。
間宮くんは空に右手を伸ばした。そして、
「雲ってもし食べれたらやっぱり甘いのかなー。」
と、呟く。
これは私たち話しかけているのか?
いや、まさかね。
答えずに彼から離れたところに腰を下ろした。
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