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じゃあ週明けからお願いと言われ、その日から私は間宮くんのことばかり考えている。
勉強ってどこでする?彼の就業時間は17時で、私の終業時間は17時半だ。近くの図書館は18時に閉館なので無理だろう。それに、黙々と自習をするには良いが、あまり話すと司書の方に注意される。
じゃあカフェとか?駅前にチェーン店のカフェがあるけど……店内での自習は禁止していますと貼り紙をしていた気がする。駅前ということもあり、お客さんも多いので、長時間の滞在はやはり迷惑なのだろう。
それに、1週間とはいえ、座席を得るためだけに、毎回、カフェで飲食代を払うのもなぁとちょっと思う。
公共の自習室などもあるが、どこも17時や18時で閉まるところばかりだ。
……私の家……とか?
いや、それはダメだよね。男子高校生を家にあげるなんて問題だ。
でも……
別に勉強するだけなのだから、気にすることないのかも。家庭教師みたいなものだ。それに、私と間宮くんはただの同僚だもん。
結局、それ以外の案は考えられなくて、週明けの月曜日、休憩時間に私の家に来ても良いよと伝えたら、間宮くんは目をぱちくりとさせてから、
「いいの?」
と、尋ねてきた。
「うん。色々場所を考えけど、最適なところがなかったから。間宮くんが高校生だって分かってる。分かってるから、だから、本当はこう言うの良くないとも思ってる。でも……」
「でも」の後は続けられない。
勉強を教える役目なだけだとしても、一緒にいたいんだもんなんて言えない。
こんな気持ちは初めてで、自分でも混乱しているのだ。誰かに対してもう少し一緒にいたいと言う気持ちが湧くなんて。
「じゃあ1週間、お世話になります。」
そんな私の葛藤なんて知らない間宮くんは、屈託のない笑顔を見せて、私にお辞儀をした。
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