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デートか……。自室のベッドにうつ伏せになって、雑誌を広げる。
人生初めてティーン向けのファッション誌を買ってしまった。彼が喜ぶデート用の服とか女子会用の服とか、リア充高校生が読むためのファッション誌。
私の人生、振り回されていると思う。
2年生になって、松田くんと同じクラスになり、友だちの桜ちゃんのお陰もあって、松田くんの彼女になった。
いや、違う。[仮彼女]だ。
松田くんは私のことを好きではないのだ。親友である宮田くんと距離を取るために、私を代わりにしてくれたのだ。
それなのに……
なんで舞香って呼ぶかな。帰り道に手を繋ぐかな。家に帰ってから電話くれるかな。
[仮彼女]にそんなことする必要ないのに。
いいところだけ利用すればいいのに。
もしかしたらって言う淡い期待はもたない。
松田くんは優しい人なのだ。あの、ぶつかってサッカーボールをぶちまけた時だって、私にかける言葉は優しかった。
だから、[仮彼女]でも傷付けるようなことはしない。
残酷。
一層のこと都合の良い女扱いしてもらったら方が楽かもしれない。
しかも、明日は付き合ってから2回目のデート。[仮彼女]とでもデートをするんだって思う。
前回はランチをして映画を見て、ショッピングモールをふらふら歩いて、夕方には家に帰った。
普通に楽しかった。
松田くんは話も上手いうえに聞き上手。部活の話とか、うちの家の超反抗期の弟の話とか、桜ちゃんとこの間遊んだこととか、どうでもいいことをたくさん話してしまった。
完璧過ぎる。これに運動神経まで抜群なんだもん。体育祭も大活躍だった。
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