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5日目は絶対に流されないって強い思いで臨んだのに、間宮くんの甘い笑顔に私の決心は朽ちたブロック塀のようにぽろぽろと崩れていった。
「ずっとこの時間が続いたらいいのに。」
と、持ち物を片付けている最中に一人言のように言われて、返事ができなかった。
そんなこと言われたことがない。
誰にも。
だから、信じていいのかも分からない。
玄関で靴を履き終えて、間宮くんは「あっ!」と何かを思い出したように声を上げた。
「明日、お仕事お休みだけど、来てもいいの?」
明日、明後日は土日だから、私は仕事がない。
「……1週間って約束だもん。約束は守る。」
「少し早く来てもいい?」
「うん……。」
「じゃあ、また明日ね。」
と言った瞬間だった。
額に触れた。
間宮くんの唇が。軽く。
「ーっ!!」
何してんの!!何を!!
額から体に熱が伝導する。この人、絶対に確信している。私が自分の行動に振り回されていること。
だって、今の私を見て、満足そうに微笑して手を振って背中を向けるんだもん。
間宮くんが帰ってから、ベッドに仰向けになってこれまでのことを思い返したら、初めて来た日から確実に距離を詰めてきている。
最初は少し触れ合う程度だった。
それが頬に手を触れられて、腰の辺りに手を回されて、額にキス。
じゃあ次は?
このままいったら、私一人が溺れてしまう。
彼はいなくなるのに。
何とか食い止めなきゃいけない。
元の自分を取り戻さなければ。
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