同じ匂い

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❇︎❇︎❇︎❇︎ 7日目は今までが嘘みたいに何もなかった。間宮くんは18時に来てきっちり19時に帰った。 課題は満点。お礼の挨拶も完璧。隣同士で座ったのに、僅かに隙間があった。 腕は触れ合わなかった。   そうして、間宮くんは学校でテストを受けるために、月曜日から1週間のお休みに入った。 私のバカ。 仕事の休憩時間に間宮くんがしていたみたいに、屋上のコンクリートに大の字になって空を見上げた。雲ひとつない青空だ。 6日目に本心なんてひとつもない。 でも、見つからなかったのだ。 答え。ワークの答えは分かるのに、彼の気持ちの答えは分からない。 何で私に触れるの? 同僚の額にキスをする男子高校生の気持ちって何? 興味本位? 年上を揶揄ってみたかった? 「綺麗な空。」 飛行機雲が真っ直ぐに伸びている。 間宮くんも同じ空を見ていたりするのだろうか。 「えっ?」 目尻から冷たいものが流れ落ちる。 それが何か理解するのに数秒かかった。 私…… 嬉しかったんだ。 同じ匂いがするって言われたこと。 自分のことを話せたこと。 間宮くんが自分の話をしてくれたこと。 もうこんな思い二度とないかもしれないのに。手放したのは、断ち切ったのた私。 自分の気持ちも伝えずに一方的に。 今まで「一人で満足」だったから。 自分の気持ちをも伝えることを必要としなかったから。 どうしたらいいの? もう答えは見えているのに、どうしたらいいのか私のコミュニケーション能力では想像出来ない。
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