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7日目は今までが嘘みたいに何もなかった。間宮くんは18時に来てきっちり19時に帰った。
課題は満点。お礼の挨拶も完璧。隣同士で座ったのに、僅かに隙間があった。
腕は触れ合わなかった。
そうして、間宮くんは学校でテストを受けるために、月曜日から1週間のお休みに入った。
私のバカ。
仕事の休憩時間に間宮くんがしていたみたいに、屋上のコンクリートに大の字になって空を見上げた。雲ひとつない青空だ。
6日目に本心なんてひとつもない。
でも、見つからなかったのだ。
答え。ワークの答えは分かるのに、彼の気持ちの答えは分からない。
何で私に触れるの?
同僚の額にキスをする男子高校生の気持ちって何?
興味本位?
年上を揶揄ってみたかった?
「綺麗な空。」
飛行機雲が真っ直ぐに伸びている。
間宮くんも同じ空を見ていたりするのだろうか。
「えっ?」
目尻から冷たいものが流れ落ちる。
それが何か理解するのに数秒かかった。
私……
嬉しかったんだ。
同じ匂いがするって言われたこと。
自分のことを話せたこと。
間宮くんが自分の話をしてくれたこと。
もうこんな思い二度とないかもしれないのに。手放したのは、断ち切ったのた私。
自分の気持ちも伝えずに一方的に。
今まで「一人で満足」だったから。
自分の気持ちをも伝えることを必要としなかったから。
どうしたらいいの?
もう答えは見えているのに、どうしたらいいのか私のコミュニケーション能力では想像出来ない。
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