同じ匂い

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❇︎❇︎❇︎❇︎ 受話器の向こうの和巳から「はいはい。」と投げやりに言われた。 「1週間経って出た答えは、その高校生と付き合うことだったわけね。」 「付き合うって……」 「付き合ってるんでしょ。そして、もうそれなりのことしたんでしょ。」 「和巳!!」 それなりのことって……否定はできないけど。 その日のうちにキスまではされた。「キスしたい。」って直球で言われた。可愛い顔で。 でも、私の家でしたキスは全然可愛くなかった。骨の髄まで吸われた気分。 それなのに、私はもう一回を求めてしまった。 キスしたいって思っていたのは、自分も同じだったのかもしれない。 約束していた彼のライブにも行った。意外と女の子も多くて、黄色い声なんかも飛んだりして、かっこいいって思う反面、別の間宮くんを知った気がしてもやもやした。 でも…… 思い違いかもしれないけど、途中で目が合って、目が合ったら、間宮くんは少し俯いて、ふっと笑みを漏らした。 大丈夫だよって言ってくれているみたいに。どこにも行かないから、楽しんでくれたら嬉しいって話しかけられた気がした。 だから私はその後、周りの観客と一緒に楽しんだ。人生初めてのライブを。
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