自分だけが片思い?

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「お姉!うるさい!!」 超反抗期の弟、中学2年生の利希(リキ)がノックもせずに私の部屋に入ってくる。 「ちょっと!ノックぐらいしてよ!」 「そっちが壁に物をぶつけたり、叫んだりするから悪いんだろう!」 超反抗期で、両親には必要最低限のことしか話さないけど、私には口調は悪いがなんやかんや言ってくる。だから、両親から利希の面倒を見てねと頼まれている。 「てか、何これ。」 利希が床に落ちた雑誌を拾う。 「か、返して!」 「デートでも行くの?お姉のこと好きになってくれるやつなんているんだ。」 「……っ」 生意気ー!! 「どんなやつ?」 「えっ?」 「そいつ。」 「……サッカー上手くて…足も速くて…優しくて…爽やか系で…あとは…ゲーム好きで…友だちが多くて……」 て、なんで私、利希に松田くんのことを話してるんだ。 「それ、騙されてるんじゃね?」 「はぁ!?」 「だって、お姉にそんなハイスペックな彼氏ができるわけないじゃん。」 「うっ……」 利希は手にしていた雑誌を私に手渡した。 「会いたい。」 「へっ?」 「そいつ。お姉のことを好きになるなんて、どんな物好きか見てみたい。」 「な、なんであんたに会わさないといけないのよ!」 「いいじゃん。俺もサッカー部なんだし。」 そう。利希もサッカー部なのだ。しかも一応、エースらしい。弟のすることに興味などないので、サッカー部の弟を持ちながら、私はサッカーのルールを全く知らないのだが。 「よろしくね。会わさないと父さんにお姉に彼氏ができたって言う。」 「ダメ!それは絶対ダメ!!」 まだお母さんにも言えてないんだもん。学校では、家族で恋バナするって言う子も多いけど、私はできない。恥ずかし過ぎて、その後にどんな顔をして親に会えばいいか分からないもん。
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