小さな手

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あぁと思った。 この人はずっと自分を責めていたのだ。 紫音がいじめられたのは、自分たちが結婚して転校することになったから。 紫音が手首を切るのは、自分が母親として支えられないから。 紫音がご飯を食べないのは、自分が作る物が悪いから。 そうやって責め続けて、彼女と向き合うのが怖くなった。 「大丈夫だよ。高校生の俺が言っても説得力ないかもしれないけど、紫音は心の片隅で生きたいって思ってるよ。」 「えっ?」 「初めて会った時に言ってた。死にたくないって。それは、叔母さんと父親とここで暮らしていこうと思っているからでしょ。」 「……。」 「俺、彼女が生きるための力になりたいです。」 「亜貴くん……」 「いい加減なことはしません。最後まで傍にいるつもりです。」 叔母さんは顔から掌を外して、泣き腫らした目で俺のことをしっかりと見た。 「連絡するわ。あなたのお母さんに。もう一度、お願いしたいって。夫に頼んでそれなりの報酬をつけさせてもらう。」 さすが母の妹だ。母がどこで心が動かされるかを読んでいる。 「紫音ちゃんともたくさん話をしてみようと思う。私ね、初めて会った時、本当に嬉しかったの。こんなに可愛い子が娘になるんだって。」 叔母は俺に手を差し出し、握手を求めたので、その手を握った。 「これからも紫音ちゃんのこと、よろしくね。」
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