82人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
松田くんに連れられて向かったのはバッティングセンターだった。駅からすぐの立地で、学生や親子連れの姿が視界に映った。
正直に言うと意外だった。
「サッカー部なのに?」
「サッカー部なのに。楽しいよ。よく友だちとも行くの。」
「私、初めて来た。」
「そうなの?ボール見てれば当たるよ。」
「私でも?」
「私でも。あ、じゃあさ、勝負しようよ。」
「勝負?」
「勝った方が負けた方のお願いを一つ聞く。ハンデ付けて俺は豪速球でいいよ。」
「……」
お願い……私の願い…ひとつしかない。
仮彼女じゃなくて正式な彼女にしてください
「する!」
なんてね。言えるわけないじゃん、そんなこと。でも、この勝負を断るのも嫌。
正式な彼女は言えなくても、勝ったら誕生日なのって明かして、祝ってもらうとか?
最初のコメントを投稿しよう!