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翔太は家の中まで付いてきた。しんどいくせに、声を出して笑ないながら。
いや、しんどいからこそのハイなのかもしれない。
「どうするの?いとこだなんて嘘ついて。」
翔太がリビングのソファーに倒れ込むように座る。やはりしんどいらしい。
そして、もちろん私も限界だ。翔太の隣に日向ぼっこをする猫のように丸まって寝転がった。
「だって言えるわけないでしょ。何となくうちで面倒をみている近所の子なんて。」
「なんで?やましいことなんてないんだから、言えばいいのに。」
そう、やましいことなんてないのに、私は隠した。翔太の存在を。
なんで?
本当のことを話したら潤さんに幻滅されると思ったから?
でも、いずれは話さないといけない日がくるだろうし、潤さんと付き合っていくなら、このまま翔太を居座り続けさせるわけにはいかない気もしている。
でも……お母さんが寂しがるもん。実の息子のように可愛がっているぐらいだから。
「そう言えば、お母さんは?」
「恵子(ケイコ)さん?買い出し。今日から治るまで、俺のこと看病してあげるって言って。俺の親の許可ももらってる。」
翔太の両親と私の母、恵子と言うのだが、お互いに翔太を支えていこうと話し合った時から仲が良くて、それもあってか、風邪を引くと翔太はよくうちに転がり込んできた。
翔太の父親は大学病院に勤務する理学療法士なのだ。だから、体調を崩した翔太から病原菌をもらうわけにはいかないからと言うのが、最大の理由らしい。
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