花言葉（番外編）

始まりのキス

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翔太と二人で出かけるのって初めてだ。駅までの道を歩きながらそんなことを思う。
翔太がまだ小学生だった頃、母に頼まれて買い物に行ったことは何度もある。

でも、この年になってはない。しかもデートだなんて表現をするから、一応、きちんとメイクして、髪もハーフアップにして、ニットワンピースにAラインのコートにショートブーツとお洒落をした。

前に派手って言われたグロスは腹が立つからやめた。その代わりローズ系の口紅にして、もう私だって大人なのって見せつけてやろうって思った。

駅の改札の前で約束をしていた。家が近所なのだから、呼びに行くと言ったのに、それじゃあデートらしくないじゃんって返された。

私たちが住む街はそれなりに栄えていて、駅前の東口には映画館もついた大型のショッピングモールや家具の量販店、生活雑貨の専門店など立ち並び、西側には飲食店街が立ち並んでいて、暮らすには不自由のない街だ。

それでも今日はデートだから、電車に乗って出かけることにした。ちょうど母の誕生日も近かったから、二人で母が欲しがっているセーターをデパートで選ぼうって話になったのだ。