82人が本棚に入れています
本棚に追加
帰宅して母も含めた3人で食卓を囲んだ。鯖の塩焼きに金平牛蒡にお浸しにと和風のメニューが並んだ。
母は私たちが一緒に帰って来たことをなぜだかすごく喜んでいた。プレゼントは来週の12月26日に翔太と渡すことにしている。その日が誕生日だから、ケーキを買ってお祝いをしようって。
「楽しかった?」
「うん。変な商品、一杯探したよね。」
相変わらず翔太は魚の骨を取るのが下手なので、話しながら私が先に解してあげる。
「えー?何それ?」
「どちらがいかに何に使うか分からない物を探せるかってのしたの。」
「ふふっ。相変わらず仲良しなのね。」
母の一言に、翔太と目が合った。
仲良し……
「翔太はずっと弟みたいなものだから。」
骨を取り切った鯖の載った皿を翔太に差し出した。
「サーンキュ。お姉様。」
「……お姉様とかうざい。」
わざとだ。お姉様なんて今まで呼んだことないくせに。私が弟なんて言ったからだ。
「まあまあ、二人とも!」
母が話を切るように、パチンと手を叩いた。
「今日ね、隣の奥さんから旅行のお土産にプリンをもらったの。良かったらご飯の後に食べてね。すごく美味しいから。」
「ありがとう、恵子さん。」
母は本当に翔太のことを可愛がっている。もし、この先、翔太が我が家に来なくなったら、父がいなくなった時ぐらい気落ちするのではないかと思う。
私と翔太の関係が途絶えたとしても、翔太はいつでもこの家に来たらいいと思う。母に会いに。
最初のコメントを投稿しよう!