苦しい悩み

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「寝れてないでしょ」 「……はい」 「だよね。今日の睡眠時間は?」 「よく覚えてないですけど……多分、2時間……」 「それがずっと続いてる?」 「はい」 「じゃあ、今回からちょっと強めの睡眠薬を出してみるね。薬も一部変更しておくから、一ヶ月様子見てみてね」 「はい……」  睡眠薬以外の薬も本格的に強い薬に変えられたってすぐに分かった。  他の病院はどうだか知らないけど、此処はすぐに薬を変える。  私が長年此処に通っているからなのかもしれないけど、私はもう完璧──中毒者だ。 「清水さんさ、ちゃんと食事してる?」 「え?」  突然のことに、声が上擦ってしまった。 「食べてないでしょ?」 「…………」 「昨日の夜は何を食べた?」 「……食べてません」 「もしかして、ダイエットとかしてる?」 「して……ます」   「どうして?」  何か言わないと。そう思えば思うほど言葉が喉に引っ掛かり、喉が締まって声が出ない。  口をパクパクとさせながら小さな「あ……」という声が漏れ、息を吸って吐いてを繰り返していると、先生は「ゆっくり深呼吸をして」と意識を自分に向けさせるために手を振りながらそう呟いた。  震えながら大きく息を吸い込み、ゆっくりと息を吐く。それでも動揺は収まらない。 「前にも言ったけど、薬を飲んで太ってしまうのは副作用だから仕方がないの。でも今、自分がどれだけ痩せているか自覚してる? 以前来たよりも凄く細くなってる。たった一ヶ月のことなのに」  たった一ヶ月のことだというのに先生は気づいてくれて、弘樹は気づいてくれない。一緒にいすぎたから気づけないのかな。  まぁ、それもあるだろうけど、私はもう……弘樹の重荷にしかなってないのかな……?
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