された側の運命

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「半年前……同じ職場の後輩から告白されたんだ」  その言葉を皮切りに、弘樹はゆっくりと話し始めた。  やっと聞くことが出来た真実だったけど、それは決していいものではなかった。  弘樹に告白をしてきた子は、入社してすぐ弘樹のことを好きになってしまったという。  所謂、一目惚れというやつ。  定時で上がった弘樹の後を追いかけてきた後輩の子が突然告白をしてきたみたいで、そんな雰囲気に一度もなかったみたいだったから弘樹は凄く驚いたみたい。  弘樹は当然その場で自分には婚約者がいると断ったが、女の子は大声で泣き出したらしい。泣くなんて思っていなかったため声をかけると同時にその子の肩に手を置くと、その子は弘樹に抱きついてきたという。その事実だけで目が回り、泣き喚きたい衝動に駆られたけど、私はグッとそれを飲み下した。 「自分はあと半年で死ぬから、半年だけでもいいから付き合ってほしいって……毎日死にたいって思ってたけど、俺と出会ったことで生きたいって思うようになったって言われて……」   「それで一線を越えたの?」   「体の関係にはなってないよ! それに、これは浮気なんかじゃ」   「私からしたら同じことだよ! 一線を越えてなくても、キスをしなくても、弘樹から抱きしめてなかったとしても愛の言葉を相手に伝えて、長い間同じ時間を過ごしているなら同じことだよ……病気のことを言われたからって浮気をしていい理由にはならない……」   「でも、そばにいてくれないと今すぐ死ぬって言うから」   「そうやって浮気を正当化しないでよ……!」   「……ごめん」  声を荒げることが、こんなにも体力を使うだなんて初めて知った。
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