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「弘樹……」
震える声で弘樹の名前を呼ぶと、今までさえ沢山の涙が溢れていたというのに、更に涙が目から溢れた。
口から出た声、心の声、全てが耳を塞ぎたくなるくらい異常に大きく聞こえるし、やけに耳につく心臓の音が不快で仕方がない。そして、私は本当に〝独りぼっち〟になってしまったという事実が更に私を追い詰めた。
ポロッと大粒の涙が目からこぼれ落ちた時、自分の影が視界に入ったことから癖のように影を撫でた。
いつものように撫でられているような感覚を覚えた私は、枯れるなんて知らないかのようにまた涙がドバドバと溢れ出てくる。
もう嫌だ。
孤独なのも、寂しいのも、自分の影が慰めてくれるのも──全てがもう嫌だ。
「やだ……わたしには、弘樹しかいないのに……」
やだ……やだやだやだ。
ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ ヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダヤダ──。
抑えきれなくなった自分の感情が頭の中で異常なほど大きい声となり、更に不安定になった私は気づけば家を飛び出していた。
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