翌日

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姿を現したのはワタル様だった。 彼のメガネがキラーンと光る。 「カスミ様を見掛けてここまで追いかけてきましたが、なるほど。秘密の取引でしたか」 「お願いです!ワタル様、センヤくんを…彼を何処にも連れて行かないで下さい!」 私はセンヤくんとワタル様の前に立ち塞がった。 後ろからセンヤくんの声がする。 「ワタルと言ったか。あんた、この事他人に洩らしたらどうなるか解っているだろうな」 「大丈夫ですよ。カスミ様を困らせることはしませんから」 ワタル様はそう言いながらコッチへ来る。 「ただ…センヤくん、ですか?貴方がこれからどうするのか興味がないと言ったら嘘になります」 「何、2人には迷惑かけねーよ」 その言葉を最後に背後からセンヤくんの気配が消えた。 振りかえるとセンヤくんの姿は何処にもなかった。 私は何故か一抹の寂しさを覚えた。 「カスミ様、お屋敷まで送っていきますよ」 「えっ!ワタル様は天上の雫に興味がないのですか?」 「言ったでしょう。貴女を困らせることはしないと。それより早くお屋敷に戻られた方が良いですよ」 私はワタル様に連れられて、帰路に着いた。 屋敷の前でワタル様と別れる。 彼は本当に私を困らせることはしなかった。
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