13人が本棚に入れています
本棚に追加
「天上の雫は俺達が頂くぜ!」
皆、得物を手に私とリョウ様が座っているベンチを取り囲んだ。
「だ、ダメだよ!」
リョウ様が私と男達の間に立ち塞がるけど、その足は震えている。
「先ずはガキからだ!」
男達はそう言うと、リョウ様を子供だと思ったのか、彼めがけて得物を振り翳した。
「リョウ様!避けてえぇー!」
私は思わず立ち上がり、リョウ様の背中に向かって叫ぶけど、彼は避けない。
と、得物を手にした男の腕を掴んだ人がいた。
「オラァ!」
間髪置かず近くにいた別の男を蹴り倒す。
蹴られた男は2、3人巻き込んで地面に倒れ込んだ。
「は、離せ!」
腕を掴まれた男は腕を振り解こうとして、突然腕を離されたから勢い余って、やはり2、3人巻き込んで倒れた。
「お、おい…」
「あ、ああ。逃げるぞ」
残りの2、3人は慌てた様子で逃げていった。
「センヤくん!」
男達を撃退してくれたのはセンヤくんだった。
「大丈夫か?カスミに貴族のガキ」
センヤくんはそう言うと、ヘナヘナと座り込んだリョウ様に手を差し伸べる。
「キミがタモツ…」
リョウ様は呆然と手を握ると、センヤくんにぐいっと起こしてもらった。
「助けてくれてありがとう。よく此処が解ったわね。今朝カード見たわよ」
最初のコメントを投稿しよう!