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「そうか。…おい、もう出て来ても大丈夫だぞ」
センヤくんが背後の噴水の方に声を掛ける。
「見事なお手なみでしたね。怪盗で捕まっても武闘家としてやっていけそうです」
出て来たのは昨日同様ワタル様だった。
デジャヴかしら?
これで2度目ね。
「ワタルくん、ひどいよー。僕だけ仲間外れにして」
「そう言うつもりはなかったのですが。結果的にそうなってしまいましたね」
その時、倒れている男性がみじろぎした。
「おい、ここから離れるぞ。目指すは暗号が示した偽物の在処だ。そろそろ当てて来る奴も居るだろ」
「暗号は私も解けたわ。まさか偽物だとは思わないでしょうね」
4人で、ゾロゾロ歩きながら暗号が示した場所へ行く。
「偽物だったのは知らせるの?」
リョウ様がセンヤくんの手を握ったまま、彼を見上げた。
「いや、所詮は偽物。それを手に入れた奴はその偽物の方がお似合いだ。…って、いつまで握っているんだ。良い加減、離せ」
センヤくんが手を振り解くとリョウ様は私の手を握った。
「えっ!」「あ、おい!」「リョウ様、僕の手で良ければ繋ぎましょうか?」
「ううん、カスミちゃんの手の方が良い♡…って、ぐえ!」
リョウ様はセンヤくんに首根っこをひっぱられた。
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