13人が本棚に入れています
本棚に追加
「馬鹿野朗」
センヤくんがそう言うとリョウ様の手は自然と離れた。
「センヤくん!リョウ様は仮にも公爵家の御子息です!無礼を謝って下さい!」
ワタル様が2人の間に入ってそう言うけど、私は何故か心が暖かくなった。
センヤくん、ヤキモチ妬いてくれたのかな…。
その時、バチッとセンヤくんと目が合って私は慌てて目を逸らした。
何やかや4人で暗号の在処の場所にたどり着いた。
「先客がいるみたいだぜ」
センヤくんが小声で言うのと、その先客さんが偽物の天上の雫を手にしたのはほぼ同時だった。
「ふん…偽物、か。世間を散々騒がせておいて、タモツにはお仕置きが必要だな」
「悪徳貴族ゴサク。よくわかったな。だが、あんたのお仕置きはもう沢山だ。コッチは4人。あんたは1人」
「来たか。タモツ。何、見られた方が燃えるというもの…」
ゴサク様はゆっくりセンヤくんの方へやってくる。
だけど、その時。
「ここだ!もう手にしている奴がいるぞ!」
暗号を解いた人達が次々にやって来て、ゴサク様の手にしている贋作を奪おうと距離を詰める。
「行くぞ」
センヤくんは何処か寂しげにそう言うと私達を率いて、その場を後にした。
それからゴサク様は命を狙われる様になる。
最初のコメントを投稿しよう!