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リョウ様って情報通なんだなぁ。
ちょっと変わっているけど、その人柄の良さに、親しい貴族は多そうだった。
と、リョウ様から耳打ちされたワタル様が、今度は私を手招きする。
どんな話なのか…私はワタル様に耳を近づけた。
「リョウ様の話によるとですね」
ワタル様は、そう前置きして話し出した。
「何でも王立美術館に所属する事で有名な画家のミュゼ様が、天上の雫と言う、それはそれは極上な美しさを誇る宝石をお持ちの様です」
宝石!
その単語を耳にしただけで私の胸は踊った。
更にワタル様は追い打ちを掛けるかのように言う。
「それも世界中、探しても見つからない位、美しい宝石だそうです」
それだけで、私の興味を唆るには充分だった。
ワタル様は私から離れると、普通の音量に戻して言った。
「今度、第1王女様の誕生日パーティーが開かれますね。当然、ミュゼ様も御参加なさるでしょう」
「僕も参加するよ!王女様やミュゼ様よりも、ご馳走が楽しみだなぁ」
リョウ様、てっきり花より団子かと思いきや。
「僕、公爵家に生まれなかったらコックになりたかったんだー」
食べる事より作る方に興味があるみたい。
「僕も参加します。カスミ様は?」
「…参加します」
ミュゼ様と交渉する!
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