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パーティーにて
私は屋敷に帰ってから、父の書斎の部屋のドアをノックした。
「失礼致します、お父様!」
父の返事も待たずに私は書斎へ足を踏み入れた。
「どうしたんだ、カスミ?今日の集まりで何か有ったのか?」
「有ったも何も、私、第1王女様の誕生日パーティーに参加致しますわ!」
「おお…、ようやくカスミも、その気になってくれたか」
父の表情が明るくなった。
「城の舞踏会へ参加するのを勧めても、やれ人が多いだの、私には、まだ早過ぎますだの、言っていた、お前が…」
父は、よもや私が宝石目当てとは知らずに、しみじみと喜んでいる。
かくして、私は生まれて初めて城のパーティーに出る事が、すんなり決まった。
当日は、私は人酔いしそうになった。
「うっ…。何、この人の多さ…」
今まで出ていた、どんな貴族の集まりとも規模が違う。
まるで、世界中の人間を、かき集めたかとも思える人の数だった。
王女様の誕生日って事が人数の多さに拍車を掛けているみたい。
現に王女様の周りを取り囲む様に貴族男性達が集まっている。
まるで、餌に群がる狼の集団だわ。
あれじゃあ、あまりにも王女様が、お可哀想…。
だけど、お陰でミュゼ様のお姿が探し易くなったのも確か。
と。
「カスミちゃーん!」
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