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聞き覚えの有る声で呼ばれた私は振り返った。
リョウ様とワタル様が、こちらにやって来る。
『ちゃん』と呼ばない様に、とはワタル様が言ってくれた筈だけど、リョウ様の中では直らないみたい。
私はリョウ様から『様』と呼ばれるのは諦める事にした。
「お2人共、ご機嫌よう」
私は両手でドレスの裾を摘み、挨拶した。
「カスミ様は今日は一段と美しいですね」
「ありがとうございます」
「カスミちゃん、もうフライドポテト食べた?凄く美味しいよ!」
「そうなんですの?では後程、頂きますわ」
私の中ではフライドポテトより、ミュゼ様のお姿の方が、どちらにいらっしゃるのか気になって仕方無かった。
無論、目当ては天上の雫だ。
「カスミ様、宜しければ一緒に…」
「済みません、そこのメガネを掛けた男性の方。私と一緒に踊っては下さいませんか?」
「ワタルくん、モテるー」
リョウ様の話を聞く限り、ワタル様がダンスに誘われたのは初めてではないみたい。
でも、女性から誘われるなんて…ワタル様のルックスを見れば納得か。
内面も優しいしね。
「あ…はい。良いですよ」
ワタル様は、そう言うと女性の手を取り、ダンスフロアへエスコートして行った。
「あ!チキンも美味しそう!」
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