【3】終焉の始まり

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〜警視庁対策本部〜 時刻は19時になろうとしていた。 紗夜以外のメンバーは、戻っている。 「富士本さん、紗夜はまだ?」 「あ…あぁ、かなり入れ込んでた様だからな」 出掛ける前に、2人が何か話していたこと。 それから、逃げ出す様に出て行った紗夜。 あれから咲は、それが気になっていた。 「そう。まぁ、知らせがないってことは無事ね」 敢えて問い詰めはしない。 知らない方が良い…そんな気がしていた。 「皆んな! 何とか10人中8人の細胞を検出することが出来たぜ」 疲れた感満載で入って来た豊川。 車内に焼き付いた断片から、特定可能なものを必死で探した鑑識部と、それを(あら)ゆる方法で、懸命に分析した科捜研部の成果である。 「どうしても見つからなかったのは、元警視総監の風井英正。そして、素性不明の中国人、リュウ・ウォンシン」 「チッ、風井の奴。まだ生き延びやがったのか」 息子を守るため、紗夜を殺そうとした彼に、悪態をつく淳一。 「風井は精神崩壊してたはずよね? なぜ助けるのやら? それより、素性不明って何者なの?」 「咲、ソイツは俺が鬼島組長からラブを引き継いだ時、遭遇した殺し屋だ。兄のリュウ・ワンジンは、ラブを襲った時に、鬼島が一緒に冥土へ連れて行った。2人で1000人以上を殺してきた伝説級のヤツだ」 「だからか…捕まえた人の記録が、ラブと飛鳥神って書かれていて、マジで驚いた」 「ヤツとは今日の昼間に一戦交えたが…脚の筋を切断し、再起不能のはずが、ピンピンしていた。凛が来なけりゃ、正直ヤバかったぜ」 昴が、送られて来たドライブレコーダーの映像を、メインモニターに映した。 「この老人が、リュウ・ウォンシン…。確かに、歳にそぐわない動きね」 凄まじい銃弾が、こちらへ浴びせられていた。 そこへバイクが上から現れ、走るリュウの背中へ、放った銃弾が着弾したのが分かった。 「あのヤロウ、殺し屋の癖に、防弾ベストを着ていやがった。次は絶対ぇ逃さねぇ」 「どうやら、草吹甲斐が開発した、特殊な人工細胞により、再生したと見て間違いないでしょう。と言うことは、風井英正も…」 「悪の塊みたいな奴が、復活したってことね」 真田の推測に、間違いはないと思う皆んな。 そして、未だにその力の残存する風井は、大きな脅威であると認識した。 「しかし、()せねぇんだが咲。アイツら、対策本部にしか告げていねぇはずの俺の動きを、完全に把握して待ち伏せして…」 神が疑念を呟いていた、その時。 「あれ? これってまさか…皆んな見て下さい❗️」 昴が、生放送のテレビ番組を映し出した。 そのテロップを見て、声が出ないほど驚く。 『都市伝説と未解決事件に、浮かび上がった心理捜査官の疑惑』 「心理捜査官って…」 「日本では…紗夜さんだけです」 咲の呟きに、真田が答えた。 「おい、咲。お〜い」 「神黙って❗️J-TVの特番を見て!」 「テレビ? おいママ、J-TVつけてくれねぇか」 歌舞伎町のクラブ、ビューティナイトにいた神。 ママの若槻(わかつき) 麗子(れいこ)に頼んだ。 「なんだ⁉️」 つけた瞬間に固まる2人。 「これって、あの紗夜さんのことじゃない?」 「紗夜に疑惑? 都市伝説に未解決事件だと?」 紗夜を知り、テレビを見ている者は驚き、その番組に注目した。
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