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〜警視庁対策本部〜
時刻は19時になろうとしていた。
紗夜以外のメンバーは、戻っている。
「富士本さん、紗夜はまだ?」
「あ…あぁ、かなり入れ込んでた様だからな」
出掛ける前に、2人が何か話していたこと。
それから、逃げ出す様に出て行った紗夜。
あれから咲は、それが気になっていた。
「そう。まぁ、知らせがないってことは無事ね」
敢えて問い詰めはしない。
知らない方が良い…そんな気がしていた。
「皆んな! 何とか10人中8人の細胞を検出することが出来たぜ」
疲れた感満載で入って来た豊川。
車内に焼き付いた断片から、特定可能なものを必死で探した鑑識部と、それを凡ゆる方法で、懸命に分析した科捜研部の成果である。
「どうしても見つからなかったのは、元警視総監の風井英正。そして、素性不明の中国人、リュウ・ウォンシン」
「チッ、風井の奴。まだ生き延びやがったのか」
息子を守るため、紗夜を殺そうとした彼に、悪態をつく淳一。
「風井は精神崩壊してたはずよね? なぜ助けるのやら? それより、素性不明って何者なの?」
「咲、ソイツは俺が鬼島組長からラブを引き継いだ時、遭遇した殺し屋だ。兄のリュウ・ワンジンは、ラブを襲った時に、鬼島が一緒に冥土へ連れて行った。2人で1000人以上を殺してきた伝説級のヤツだ」
「だからか…捕まえた人の記録が、ラブと飛鳥神って書かれていて、マジで驚いた」
「ヤツとは今日の昼間に一戦交えたが…脚の筋を切断し、再起不能のはずが、ピンピンしていた。凛が来なけりゃ、正直ヤバかったぜ」
昴が、送られて来たドライブレコーダーの映像を、メインモニターに映した。
「この老人が、リュウ・ウォンシン…。確かに、歳にそぐわない動きね」
凄まじい銃弾が、こちらへ浴びせられていた。
そこへバイクが上から現れ、走るリュウの背中へ、放った銃弾が着弾したのが分かった。
「あのヤロウ、殺し屋の癖に、防弾ベストを着ていやがった。次は絶対ぇ逃さねぇ」
「どうやら、草吹甲斐が開発した、特殊な人工細胞により、再生したと見て間違いないでしょう。と言うことは、風井英正も…」
「悪の塊みたいな奴が、復活したってことね」
真田の推測に、間違いはないと思う皆んな。
そして、未だにその力の残存する風井は、大きな脅威であると認識した。
「しかし、解せねぇんだが咲。アイツら、対策本部にしか告げていねぇはずの俺の動きを、完全に把握して待ち伏せして…」
神が疑念を呟いていた、その時。
「あれ? これってまさか…皆んな見て下さい❗️」
昴が、生放送のテレビ番組を映し出した。
そのテロップを見て、声が出ないほど驚く。
『都市伝説と未解決事件に、浮かび上がった心理捜査官の疑惑』
「心理捜査官って…」
「日本では…紗夜さんだけです」
咲の呟きに、真田が答えた。
「おい、咲。お〜い」
「神黙って❗️J-TVの特番を見て!」
「テレビ? おいママ、J-TVつけてくれねぇか」
歌舞伎町のクラブ、ビューティナイトにいた神。
ママの若槻 麗子に頼んだ。
「なんだ⁉️」
つけた瞬間に固まる2人。
「これって、あの紗夜さんのことじゃない?」
「紗夜に疑惑? 都市伝説に未解決事件だと?」
紗夜を知り、テレビを見ている者は驚き、その番組に注目した。
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