【8】真の支配者 〜Final Battle〜

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助けがいない… 落胆する咲達。 その通信機に、(じん)の声がした。 「待ってろ、もう直ぐ着くからよ」 「神? どうして…」 「甲斐はともかく、雅を捕まえるなら、数で勝つしかねぇだろうが。警察も消防も自衛隊もいない今、俺たちしかいねぇと思ってな。都内の全部隊を集めて来たぜ!」 「神! また傷口が開くわよ!」 「痛てて…風花ぁ、緊急で一時退院許可を頼む」 「無理でしょうこんなんじゃ、神さん。組長代理の近藤と申します。神さんは大人しくさせときますので、何卒ご勘弁を」 「こら、勝手に通信機取るな、返せ」 「いいわ、許可します。その代わり、戻ったらベッドに縛りつけるから」 「そんな趣味はねぇが、サンキュ!風花ちゃん」 「バカ!全く…」 毒づきながらも、笑みがこぼれる風花。 「咲さんこれ見てください!」 モニターに周辺の衛星映像を映す昴。 物凄い数のダンプカーや、それらしい車が、直ぐ近くまで押し寄せていた。 「アイ、シールド弾で周りを防御して、ミサイルで瓦礫を破壊するわ。シールドの正確な位置と着弾位置を計算して」 「了解しました、直ぐに転送します」 「桐谷、ちょっと揺れるけど我慢して」 「座標セット完了しました」 「バシュバシュバシュバシュ!」 躊躇なく、シールド弾を撃つ凛。 「シールド展開!」 瓦礫を囲む様に、4箇所から超音波とコスモエネルギーの壁が広がる。 「ビッ、ババシューン…」 次いで、小型ミサイルを2発撃ち込む。 「ドドーン💥💥」 瓦礫の山が吹き飛び、シールドにぶつかった破片は、超音波で粉砕された。 「桐谷、生きてる?」 「何ともないわ、大丈夫よ」 「シールド解除。神、後は任せたわ」 「了解!」 神達が到着した。 「お前らいいか、この地下に、美しい女が閉じ込められてる。気合い入れて助け出せ❗️」 「ゥオォー❗️」 瓦礫を囲んで幾つかの列を組み、次々と手渡しでダンプへと瓦礫を運ぶ。 「す…すごいですね」 「ああ、あの統率力と行動力は、学ぶべきだな」 映像でみながら、昴と富士本が呟く。 あの自衛隊にも、勝るとも劣らないものであった。 作業は1時間掛からずに終わった。 途中で見つかった久宝の遺体は、丁重に扱われ、紗夜が呼んだ地元の救急車で運ばれた。 そして、地下から現れた『美しい女』。 思わず拍手と黄色い声が飛ぶ。 (な…何なのよ💦) 照れながらも、つい軽く手を振る桐谷。 相棒の久宝の死に、笑顔はない。 豊川達が地下へ入り、草吹甲斐の現場検証の後、運び出して警視庁へと移送した。 「自殺か雅の仕業かは分からねぇが、目が見開かれていたことから推定して、まず雅の仕業(しわざ)だな。普通…頭撃つ奴は目を閉じる」 「現場にこれがあったわ」 紗夜が都内の地図を広げる。 「マーキングされてる場所が、雅が爆破したところだな。ここもちゃんと記されてやがる」 「これをわざと置いて行ったということは、爆破はもう終わったと見ていいわね」 「よし、とりあえず帰るとするか」 神のところへ行く紗夜。 飛鳥組傘下の数人の組長が集まっている。 「神さん皆さん、警視庁の紗夜です。本当にありがとうございました」 深々と頭を下げた。 「おいおい紗夜さん、やめてくれよ。なぁお前ぇらもそうだろ?」 「ああ、警察に感謝される立場じゃねぇからな。俺たちは、飛鳥神に従って動いただけだ」 「そうだぜ、気持ち悪ィ。まぁ…こっちも美人だからいいけどよ」 「バカ、とにかくそう言うことだ紗夜さん。おかげで、皆んなの顔も見れたし、ヤクザの絆ってのも確認できて、丁度良かった。雅がいなかったのは残念だが、必要だったらまた手ぇ貸すぜ」 うなずく組長たち。 「よし、皆んなご苦労!今日の礼はまたにするが、今夜歌舞伎町で飲むなら、全部俺の奢りだ。解散❗️」 「ぅおおー‼️」 それぞれに帰って行く組員達。 もう一度軽く頭を下げて、車へ戻る紗夜。 背後で、『愛の讃歌』が鳴り響いていた。
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