【8】真の支配者 〜Final Battle〜

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雅 MIYABI 東京の1日は、その名に始まった。 新聞やテレビは1日中報じ続け、人々の興味心と不安感を煽り立てている。 交通機関は、東京を逃げ出す人で混み合い、また逆方向は、東京へ好奇心を集めて混み合った。 都内の消防、警察、自衛隊は、夕方にはその機能を取り戻し、来るべき戦いに備え始める。 政府各省庁も時と共に、それなりの指導者が指揮を取り、かつてない程の協力体制を持ち始めた。 事実上の国を統べる者、眉村首相は、敢えて大臣の任命は控え、内閣府の全ての責務を()った。 そばに控えるのは、首相アドバイザーで、議会のオブザーバーである、トーイ・ラブ。 警察機関のトップである、花山警視総監。 自衛隊統合幕僚長の、松坂総本部長。 この4名で、雅と向かい合う。 ラブは止めたが、東京を統べる者として、断固として、雅から逃げることはしなかった。 お台場のTERRAと警視庁対策本部ビル前。 428号線は通行止めとし、周辺のビルや商業施設からは全員を避難させた。 TERRAもT2とティーク以外全員を退出させ、凛はヘリで上空待機している。 警視庁も刑事課のメンバー以外全員を避難させた。 武器は全て金庫に入れ、見守るしかできないことを悔しく思いながらも、ラブ達の足手纏いになるわけにはいかない。 唯一紗夜は、ラブと共に戦うことを望み、ラブもそれを受け入れたのである。 前代未聞の事件の結末。 不可思議な力を持つ、雅との戦い。 日本中が、世界中が注目する中。 間も無く、夜を迎えようとしていた。 「ラブさん、いつの時代から、この国は間違ってしまったのでしょうか?」 閑散とした会議室で、眉村が呟いた。 「戦を間違いと言うならば、人間の歴史は常に間違いだらけです。それは、国レベルでもなく、世界中の多くの人々の日常にも起きていること。それが、この地球(ほし)の人です。でも決して、それが全て悪いことではなく、それがあってこそ、未来があるものと信じています」 黙ってうなずく眉村。 それ以上は問わない。 「少し外します。本当の戦いは、ここではない」 廊下には、ラブが見つけた救世主達がいた。 黙ってエレベーターに乗り、屋上まで上がる。 「比嘉(ひが) 晋也(しんや)さん。今回貰うものは、想像を絶するほど悲しく、無惨な過去の出来事。でも、絶対に目を逸らさず、彼女に伝えてください」 思い切り抱きしめるラブ。 (ごめんね…力を貸して) (大丈夫。僕たちに任せて!) 笑顔を見せて、ヘリへと乗り込む比嘉。 「新垣(あらがき) 多香子(たかこ)さん。あなたが未来では、もしかしたら私も死んでいるかも知れない。でも、絶対に目を逸らさず、彼女に伝えてください」 思い切り抱きしめるラブ。 (ごめんね…私を助けて) (大丈夫。絶対にラブを死なせたりしない!) ニコリとして、ヘリへと走る荒垣。 そして、見つめ合う2人。 「佐久本(さくもと) 美優(みゆ)さん。あの2人は頑張ってくれるはず。例え苦しんでいて、死にそうでも、もし意識がなくても、2人が過去と未来を受け取ってください。そして、あなたが正しいと思う方へ導いて」 「この前話を聞いて、3人で決心したから。昨日の雅って奴のふざけた文字を見て、たくさんの爆破事件をやったのがソイツだと知った。私達は、絶対に許さない❗️ だからラブ、こっちは任せて。私の龍神は、今にも飛び出しそうなくらい怒ってるんだから」 思い切り抱きしめるラブ。 美優もラブを抱き締めた。 「例え理不尽で悲しい死だったとしても、関係のない人を殺すのは間違ってる。それを利用しようとする雅は、死んでも許さない❗️」 耳元で伝え、腕を解く。 目を見てうなずき、2人のもとへ走って行った。 「アイ、後はお願い」 「承知しました、ラブ様」 上昇し、武蔵村山市へ向かうヘリ。 涙を堪え、それを見送るラブであった。 美優が奏でる三線(さんしん)の音色が、聴こえた気がした。 過去をことができる比嘉。 その未来をことができる新垣。 2人がものを変えることができる龍神の化身、佐久本。 沖縄から来た3人は、チムグクルというバンドで、世界中に癒しのメロディを届けている。
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