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路上に描かれた白い六芒星。
その頂点を結ぶ円内に立つ6人。
T2とティークは戦闘スーツ姿である。
「花山さん、拳銃はないですよね?」
「もちろん…普段から持たないのです」
「全ての監視カメラは切り、どこからも撮影はできません。今夜何が起ころうと、守秘を約束してください」
「分かりました」
眉村もうなずく。
「松坂さん、お久しぶりです。幕僚長にまでなられるとは、さすがです」
「あ最初にお会いしたのは、ロシアのエネルギー開発設備が、嵐に遭ったときでしたね。国会に怒鳴り込んで来たラブさんの姿と言葉は、今でも頭に残っていますよ」
「お恥ずかしい限りです」
「ラブさんのことは、鷲崎元首相から良く聞かされています。何度も世界を救ってくれたこともね」
「今のこの地球の者ではないと分かってからも、皆んな普通に居させてくれて、私の使命ですから、これからも絶対に守ります」
「しかしラブ、今度の相手はちょっとヤバくねぇか? 確かに霊魂ってのもある意味エネルギー体みたいなもんかも知れねぇが…」
「何であれ、私はラブを護るのが使命。霊魂の概念がない我らには、恐れるに足らん」
「頼もしいお二人ですね、ラブさん」
「ま…まぁね」
そんな話をしている頃。
緊迫感に包まれた刑事課。
昴は衛星映像を見張っている。
「KANNAが、結界とか張ってくれたらしいけど、そもそも魔術が、怨霊に効果あんのかな?」
「まぁ、何もないよりゃマシじゃねぇか」
「何にしろ、久宝さんのためにも、絶対に雅は捕まえないといけませんね」
久宝の名前に、歯を噛み締める皆んな。
「雅は私が必ず捕まえてやるわ。2、3発撃ち込んでやりたいけど、残念だわ」
「桐谷、自分を責めるんじゃないぞ」
相棒を失った桐谷を、富士本は心配していた。
「あっ! 来ました」
検問を通過して来る車は、雅しかない。
「操りやがったか。あれ? 紗夜と美波は?」
「雅が来たのを知って、出て行きましたよ」
「マジか昴! チッ…祈るしかねぇか」
夫として心配ではあるが、紗夜を信じると決めた。
丁度警視庁ビルの前、ラブ達から50m。
車が停まった。
ゆっくり降りる雅。
「西洋魔術か。そんなものが通用するとでも?」
「えっ⁉️」(ラブ)
「何で⁉️」(咲)
その驚きは、後部座席から降りた2人。
カメラマンと、柴咲希美。
「こんな決定的瞬間、秘密にするのは勿体ない」
「雅❗️」(ラブ&先)
「皆んなこれ、生放送されています!」
昴が、テレビ映像をモニターに映し出した。
「J-TVの柴咲希美が現場から生中継でお伝えします。昨日『滅殺状』なるものを公表した高嶺雅が、今お台場の警視庁ビルの前にいます。TERRAの前には、眉村首相とラブさん、花山警視総監に自衛隊の松坂統合幕僚長の姿があります」
「東京を統べる者が、たったのそれだけとは。おっと、そう言えば、爆発で皆んな死んじゃったんだね。せっかく半分残してあげたのに、まんまと罠にかかってね。愚かな奴ら」
そこでラブが動く。
「雅さん、つまらない自慢話はやめて、大人の話をしましょう。おっと、そう言えば、まだ1才程度の赤ちゃんでしたね。それなら仕方ないか、失礼しました」
敢えて同じ論じ方で返したラブ。
「何だと💢 うるさい❗️」
凄まじい『気』がラブを襲う…が。
「バシンッ💥」
寸前で結界に阻まれた。
「西洋の魔術も、なかなかなものでしょう」
「クッ…何だそれは、ただの魔術じゃないな」
「その通りよ雅。これはあなたの様な紛い物じゃなく、本物の悪魔がかけたものだから」
「悪魔だと? ならば、怨霊の力を思い知れ❗️」
雅の頭上の空間が歪み、禍々しい闇が現れた。
ソレが、雅の一睨みでラブへ放たれた。
その時。
目に見えない速さで、何かがその前を遮った。
「バシーン💥」
凄まじい破裂音が響く。
「お前…」
雅が驚き、呟いた。
「雅、甲斐が造り出した悪。お前は私が殺す!」
瘴気をまともに受けた美波。
身体中が切り裂かれ、血が流れ落ちる。
ゆっくり雅へ歩み寄る。
瞬く間に傷口が塞がり、完治して行く。
「不死身の人工細胞で出来たバケモ…」
「ガッ!」
その言葉を言い終わる前に、高速で雅に一撃を入れた美波。
「何?」
強烈な拳は、雅の前に現れた無数の小さな手により、止められていた。
「フッ…」
その手が美波のその腕に纏わりつく。
そして、その腕が…砕け散った。
「グァ❗️」
片腕を失い、よろめく美波。
「ズキン」(えっ?)
「不死身がどの程度か試してみるか、死ね!」
雅の周りから、無数の小さな手が美波を襲う。
そこへ、光が走った。
「バシュン💥」
両腕に光るリング。
ラブの光の剣が、その手を斬り飛ばしていた。
「またお前か、ラブ!」
そのラブへ、更に強烈な手が、左右から降り注ぐ。
「ビジュ💥」「バシン💥」
「何だと!?」
左からの手を、ティークの蒼く光る長剣が斬り裂き、右からの手を、T2の燃える拳が弾き返した。
「何なんだお前たちは⁉️」
「ラブには」…「手は出させねぇ」
「ズキン」
(えっ…また)
美波を連れて離れるラブ。
その腕は、既に再生を始めていた。
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