【8】真の支配者 〜Final Battle〜

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路上に描かれた白い六芒星。 その頂点を結ぶ円内に立つ6人。 T2とティークは戦闘スーツ姿である。 「花山さん、拳銃はないですよね?」 「もちろん…普段から持たないのです」 「全ての監視カメラは切り、どこからも撮影はできません。今夜何が起ころうと、守秘を約束してください」 「分かりました」 眉村もうなずく。 「松坂さん、お久しぶりです。幕僚長にまでなられるとは、さすがです」 「あ最初にお会いしたのは、ロシアのエネルギー開発設備が、嵐に遭ったときでしたね。国会に怒鳴り込んで来たラブさんの姿と言葉は、今でも頭に残っていますよ」 「お恥ずかしい限りです」 「ラブさんのことは、鷲崎(わしざき)元首相から良く聞かされています。何度も世界を救ってくれたこともね」 「今のこの地球(ほし)の者ではないと分かってからも、皆んな普通に居させてくれて、私の使命ですから、これからも絶対に守ります」 「しかしラブ、今度の相手はちょっとヤバくねぇか? 確かに霊魂ってのもある意味エネルギー体みたいなもんかも知れねぇが…」 「何であれ、私はラブを護るのが使命。霊魂の概念がない我らには、恐れるに足らん」 「頼もしいお二人ですね、ラブさん」 「ま…まぁね」   そんな話をしている頃。 緊迫感に包まれた刑事課。 昴は衛星映像を見張っている。 「KANNAが、結界とか張ってくれたらしいけど、そもそも魔術が、怨霊に効果あんのかな?」 「まぁ、何もないよりゃマシじゃねぇか」 「何にしろ、久宝さんのためにも、絶対に雅は捕まえないといけませんね」 久宝の名前に、歯を噛み締める皆んな。 「雅は私が必ず捕まえてやるわ。2、3発撃ち込んでやりたいけど、残念だわ」 「桐谷、自分を責めるんじゃないぞ」 相棒を失った桐谷を、富士本は心配していた。 「あっ! 来ました」 検問を通過して来る車は、雅しかない。 「操りやがったか。あれ? 紗夜と美波は?」 「雅が来たのを知って、出て行きましたよ」 「マジか昴! チッ…祈るしかねぇか」 夫として心配ではあるが、紗夜を信じると決めた。 丁度警視庁ビルの前、ラブ達から50m。 車が停まった。 ゆっくり降りる雅。 「西洋魔術か。そんなものが通用するとでも?」 「えっ⁉️」(ラブ) 「何で⁉️」(咲) その驚きは、後部座席から降りた2人。 カメラマンと、柴咲希美。 「こんな決定的瞬間、秘密にするのは勿体ない」 「雅❗️」(ラブ&先) 「皆んなこれ、生放送されています!」 昴が、テレビ映像をモニターに映し出した。 「J-TVの柴咲希美が現場から生中継でお伝えします。昨日『滅殺状』なるものを公表した高嶺雅が、今お台場の警視庁ビルの前にいます。TERRAの前には、眉村首相とラブさん、花山警視総監に自衛隊の松坂統合幕僚長の姿があります」 「東京を統べる者が、たったのそれだけとは。おっと、そう言えば、爆発で皆んな死んじゃったんだね。せっかく半分残してあげたのに、まんまと罠にかかってね。愚かな奴ら」 そこでラブが動く。 「雅さん、つまらない自慢話はやめて、話をしましょう。おっと、そう言えば、まだ1才程度の赤ちゃんでしたね。それなら仕方ないか、失礼しました」 敢えて同じ論じ方で返したラブ。 「何だと💢 うるさい❗️」 凄まじい『気』がラブを襲う…が。 「バシンッ💥」 寸前で結界に阻まれた。 「西洋の魔術も、なかなかなものでしょう」 「クッ…何だそれは、ただの魔術じゃないな」 「その通りよ雅。これはあなたの様な(まが)い物じゃなく、本物の悪魔がかけたものだから」 「悪魔だと? ならば、怨霊の力を思い知れ❗️」 雅の頭上の空間が歪み、禍々しい闇が現れた。 ソレが、雅の一睨みでラブへ放たれた。 その時。 目に見えない速さで、何かがその前を遮った。 「バシーン💥」 凄まじい破裂音が響く。 「お前…」 雅が驚き、呟いた。 「雅、甲斐が造り出した悪。お前は私が殺す!」 瘴気をまともに受けた美波。 身体中が切り裂かれ、血が流れ落ちる。 ゆっくり雅へ歩み寄る。 瞬く間に傷口が塞がり、完治して行く。 「不死身の人工細胞で出来たバケモ…」 「ガッ!」 その言葉を言い終わる前に、高速で雅に一撃を入れた美波。 「何?」 強烈な拳は、雅の前に現れた無数の小さなにより、止められていた。 「フッ…」 その手が美波のその腕に纏わりつく。 そして、その腕が…砕け散った。 「グァ❗️」 片腕を失い、よろめく美波。 「ズキン」(えっ?) 「不死身がどの程度か試してみるか、死ね!」 雅の周りから、無数の小さな手が美波を襲う。 そこへ、光が走った。 「バシュン💥」 両腕に光るリング。 ラブの光の剣が、その手を斬り飛ばしていた。 「またお前か、ラブ!」 そのラブへ、更に強烈な手が、左右から降り注ぐ。 「ビジュ💥」「バシン💥」 「何だと!?」 左からの手を、ティークの蒼く光る長剣が斬り裂き、右からの手を、T2の燃える拳が弾き返した。 「何なんだお前たちは⁉️」 「ラブには」…「手は出させねぇ」 「ズキン」 (えっ…また) 美波を連れて離れるラブ。 その腕は、既に再生を始めていた。
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