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【終章】真相と…
一月後。
〜新宿区〜
ヒルトン東京のセント・ジョージ バー。
莉里は、もう3杯目をオーダーした。
「あっ来た来た」
バーテンの篠田が、2人分を追加して作り始める。
ドアが開き、風花と凛が入って来る。
「ごっめ〜ん莉里、待った?」
「居るんだから、待ったに決まってる」
「予想外に凛が安全運転するもんだから…」
「誰かさんに、黄色は早く急ぎなさい…ではないと教わったので」
「そ…そうなの💧」
そこへ篠田がカクテルを差し出す。
自分の分も用意して。
「遅くなったけど、莉里の20…㊙️歳を祝して、カンぱ〜い🥂🎉。あの時は、それどころじゃなかったからね」
「いや、あんな龍を見せられたバースデーは、一生忘れないわよ」
「な…何ですか? あんなモノって💦」
「莉里が言うと、変なモノに聞こえるじゃない」
「何でよ…全く💧 違うからマスター気にしないで。それに、言っても信じらんないから」
「ますます気になりますが。それなら、聴いて貰いましょうか。譜真、愛衣さん、よろしく」
「えっ?」
マスターが照明を暗くした。
静かに優しく、ピアノのイントロが流れ始める。
徐々に変曲し、バースデーソングになった。
今や世界的ピアニストの篠田譜真。
バーテン篠田大器の息子である。
スポットライトが当たり、盲目のシンガー篠田 愛衣の美しい歌声が、莉里を祝福する。
いつの間にか用意された、バースデーケーキ🎂。
中くらいの蝋燭2本と、細いの㊙️本。
カウンターを灯す炎が趣きを醸し出す。
「莉里さん、ハッピーバースデー❣️」
流れで仕方なく吹き消す莉里。
珍しく照れて、顔が赤い。
「勘弁してよね…でも、ありがとう」
「おめでと莉里」
その声で、一斉にクラッカー🎉が弾け、キラキラとした紙吹雪が店内に舞い、落ちる前に消える。
「華奈、いつの間にきたの⁉️」
「えっ…ずっと前から居たけど💧」
KANNAこと、七森 華奈。
風花と莉里とは、違う医大の親友であった。
ラブラブ💓のBGMが流れる。
「私からのサプライズです」
いつも笑顔のマスター篠田。
「結婚したとは知らなかったわ〜おめでとう」
「まだ入籍しただけで、未公表です凛さん」
「あらら、莉里泣いてるの?」
「バカ、言うな!」
院長だった母親に、厳しく育てられた莉里。
天才が故に友達もなく、こんなのは初めてだった。
「さぁ、食べましょうか」
「マスター、お代わりもお願い」
「手伝うわ」
カクテルツウの凛が、カウンターに入る。
「KANNA、ラブは?」
「今夜は予定があって、来れないって。あの2人が、ラブからのサプライズプレゼント🎁よ」
「なんだ、マスターじゃないのかぁ」
「ハハ、バレましたか。でも半分は私からです」
歌う愛衣は、TERRAミュージックに、ソロ歌手として所属している。
こうして、幸せな夜が戻って来たのである。
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