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〜TERRA・東京都復興対策室〜
日本の建築、再生技術は世界に優る。
僅か一月で、山手線の路線は再開した。
駅ビル等はまだ未完であるものの、60%は完了し、庶民の生活は平静を取り戻しつつある。
この対策室も今日で解散となり、眉村が任命した新たな政府により、継続される事となった。
「眉村さん、大変ご苦労様でした。新たな内閣は、党派の垣根を取り払い、ある意味新しく正しい形に生まれ変われたものと思います」
「花山さん、亡くなられた方々には申し訳ないが、あるべき姿になるには、こういう道を辿るしかなかったのでしょう」
党首を無くした政党は、復興という目標の為に一つになり、信頼と連帯感を持った、新たな政治の始まりとなった。
「しかし、まさか遠い昔に隠された負の遺産が、今の世に禍いを招くとは、良い教訓になりました」
「二度と繰り返さぬ様、我々警察は気を引き締めて、頑張る所存でございます。それが例え権力に守られようと、容赦は致しません」
「肝に銘じて、我が国と国民のために、職務を全うする覚悟です。今思えば、それを彼女はずっと前から行なっていたのです。大した人だ、ラブさんは」
出口に立ち、去って行くメンバーと握手を交わし、笑顔で見送るラブの姿。
眉村と花山は、熱いものを胸に刻み込んだ。
そして最後に深々と頭を下げ、そっと別の出口から、帰って行った。
それには気付いていたラブ。
その心遣いを汲み、敢えて気付かぬ振りを通した。
そこへ比嘉、新垣、佐久本がやって来た。
「ラブさん、お疲れ様でした」
「あら、3人揃ってわざわざ?」
「あれから、私たち考えたんだけど、ラブさんには、本当のことを伝えるべきだと美優が…」
新垣が代表してその役を担った。
3人は全てを覚えている。
忘れたくても…
「やっぱり、あそこで私は一度死ぬのね。東京を支配したのは雅ではなくて、雅と紗夜さん。それが彼女の意思かは分からないけどね」
「何だ、やっぱり分かってたのね。悩んだ分だけ損した気分だわ。ん?…一度?」
「ごめんごめん。みんなが全てを覚えてることは、分かっていました。それからね、私の命はこの地球と共にあるの。だから、地球が崩壊する日まで、私は何度でも生き返る運命なの。超極秘事項よ」
「ラブさんって…何歳なの? 全然変わらないし」
「それは難しい質問ね。地球と私の世界では、時間の尺度が全然違っていて、時間と言う概念自体違うから、正直分からないの私も。変化はしてるのよ、これでもね💦 人が歳をとるのとは、また違うものだけど…ん〜説明できないわ、許して」
「まっ、いいけど。しかし、雅はどんな大人になるのかな? 邪心が復活しないことを祈るわ」
「大丈夫だと思うわ。それを、これから念押ししておくところなの。本当に、助けてくれてありがとうね。世間に信じて貰えないのが残念だけど、あなた達3人が、今回の救世主だから」
「知られない方が、楽でいいわ。じゃあまたね、ラブさん。美優、晋ちゃん、リハーサルの時間よ、行きましょ」
仲の良い3人だから乗り越えられる。
その強さにラブは、尊敬の念さえ覚えていた。
3人と別れ、神妙な顔になるラブ。
エレベーターでスカイラウンジへと向かった。
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