【終章】真相と…

3/6
109人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
〜TERRA・東京都復興対策室〜 日本の建築、再生技術は世界に優る。 僅か一月で、山手線の路線は再開した。 駅ビル等はまだ未完であるものの、60%は完了し、庶民の生活は平静を取り戻しつつある。 この対策室も今日で解散となり、眉村が任命した新たな政府により、継続される事となった。 「眉村さん、大変ご苦労様でした。新たな内閣は、党派の垣根を取り払い、ある意味新しく正しい形に生まれ変われたものと思います」 「花山さん、亡くなられた方々には申し訳ないが、あるべき姿になるには、こういう道を辿るしかなかったのでしょう」 党首を無くした政党は、復興という目標の為に一つになり、信頼と連帯感を持った、新たな政治の始まりとなった。 「しかし、まさか遠い昔に隠された負の遺産が、今の世に(わざわ)いを招くとは、良い教訓になりました」 「二度と繰り返さぬ様、我々警察は気を引き締めて、頑張る所存でございます。それが例え権力に守られようと、容赦は致しません」 「肝に銘じて、我が国と国民のために、職務を(まっと)うする覚悟です。今思えば、それを彼女はずっと前から行なっていたのです。大した人だ、ラブさんは」 出口に立ち、去って行くメンバーと握手を交わし、笑顔で見送るラブの姿。 眉村と花山は、熱いものを胸に刻み込んだ。 そして最後に深々と頭を下げ、そっと別の出口から、帰って行った。 それには気付いていたラブ。 その心遣いを汲み、敢えて気付かぬ振りを通した。 そこへ比嘉、新垣、佐久本がやって来た。 「ラブさん、お疲れ様でした」 「あら、3人揃ってわざわざ?」 「あれから、私たち考えたんだけど、ラブさんには、本当のことを伝えるべきだと美優が…」 新垣が代表してその役を担った。 3人は全てを覚えている。 忘れたくても… 「やっぱり、あそこで私は一度死ぬのね。東京を支配したのは雅ではなくて、雅と紗夜さん。それが彼女の意思かは分からないけどね」 「何だ、やっぱり分かってたのね。悩んだ分だけ損した気分だわ。ん?…一度?」 「ごめんごめん。みんなが全てを覚えてることは、分かっていました。それからね、私の命はこの地球(ほし)と共にあるの。だから、地球が崩壊する日まで、私は何度でも生き返る運命なの。超極秘事項よ」 「ラブさんって…何歳なの? 全然変わらないし」 「それは難しい質問ね。地球と私の世界では、時間の尺度が全然違っていて、時間と言う概念自体違うから、正直分からないの私も。変化はしてるのよ、これでもね💦 人が歳をとるのとは、また違うものだけど…ん〜説明できないわ、許して」 「まっ、いいけど。しかし、雅はどんな大人になるのかな? 邪心が復活しないことを祈るわ」 「大丈夫だと思うわ。それを、これから念押ししておくところなの。本当に、助けてくれてありがとうね。世間に信じて貰えないのが残念だけど、あなた達3人が、今回の救世主だから」 「知られない方が、楽でいいわ。じゃあまたね、ラブさん。美優、晋ちゃん、リハーサルの時間よ、行きましょ」 仲の良い3人だから乗り越えられる。 その強さにラブは、尊敬の念さえ覚えていた。 3人と別れ、神妙な顔になるラブ。 エレベーターでスカイラウンジへと向かった。
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!