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【End Roll】
畳んだ地図を片手に、力無く出ていく高嶺真純。
見えなくなるまで見送る皆んな。
「皆さん、ハッピーエンドではありませんが、大変ご苦労様でした。これからも頼みます」
偽の令状を、丸めてゴミ箱に棄てる花山。
富士本が付き添って出て行った。
「さてさて、あらもうこんな時間! じゃ、また明日ね。お疲れ〜」
出ていくミニスカハイヒールの靴音に、『愛の讃歌』が加わる。
「神、ビューティナイトね? 今から行くから寝ないで待ってて。えっ、美夜もいるの…」
話しながら出ていく咲。
「桐谷さん、ちょっとウチに行きますか!」
「いいわね、今日は負けないわよ」
最近一緒に帰ることが多い桐谷と真田。
「じゃあ、また明日ね」
軽く手を振って出ていく。
「ありゃあ…デキてるな。間違いねぇ」
淳一がニヤっと笑う。
「まさか、それはナイナイ。美月に限ってそれは無いわ。彼女…男性には興味ないから」
FBI時代から付き合いのラブが明かした。
「マジか⁉️」
本マジである。
「しっかし、今から射撃とはな…」
「バカね、違うわよ。バッティングセンターよ」
「はぁ?…それもマジかよ」
……💧。
「久宝が亡くなって、真田さんなりに、気を遣ってくれてるのよ」
「そうか…よし! お邪魔でないなら俺も行くかな。何かスカッとしてぇし。いいか紗夜?」
「いいけど、淳はまず当たらないじゃない💦」
「フルスイングすることに、意味がある!」
「なるほど…どうぞお好きに」
(バッティングセンターの意味は無いけど…)
妻の許可を得て、追いかける淳一。
紗夜と豊川とラブが残ったスカイラウンジ。
何か言いた気な豊川。
「なんですか、豊川さん?」
「ハハ、2人にはバレバレだったな」
「いえ、親しい人の心は、普通は覗かないわ」
ラブの言葉に、ニコリと同意する紗夜。
「そっか。紗夜さん、前にも確認したが…もう一度だけだ。 信用して…いいんだよな?」
今回は即答せず、間を置く紗夜。
傷だらけの右の掌を見つめる。
「少し…待って貰っていいですか?」
今回のことで、自分が分からなくなっていた。
「おぅそうか分かった。ただし、定年までには返事をくれよ。じゃあな、お疲れさん」
潔く去る豊川。
その背中に、頭を下げる紗夜。
ついに、2人だけになった。
話すことはお互い分かっている。
「あの時、もし美優さんが間に合わなかったら」
「私は死んで…東京は紗夜さん、あなたの中に居るモノが支配し、何もかもが終わっていました」
ストレートに告げるラブ。
「やっぱり…でも私はそんなこと望んでいない」
「分かってるわ。安心して紗夜さん」
「えっ?」
「紗夜さんの中にいるモノは、あの力を得ることが出来なかった。あなたの優しく清らかな心は本物よ。それがそのモノの邪心を抑え込んでいる」
「それじゃ…」
「聞いてるわよね? 紗夜さんの中にいる限り、これから先も、あなたを守り続けるわ」
ズキン…と掌が痛んだ。
「紗夜さんと私が戦う未来は、もう…無いわ❣️」
「良かった…明日豊川さんに伝えます」
「急ぐことはないんじゃない? 彼にはずっと刑事でいて欲しいからね」
ニコリと微笑むラブ。
それに、微笑みを返す紗夜。
その時、ラブの業務用携帯が鳴った。
「終わったわ、凛」
「はい? 遅〜い! 早く来なさいよラブ。皆んなアンタを待ってんだから」
かなり出来上がっている様子💧
「す…直ぐに行くわ💦」
チラッと紗夜を見るラブ。
「淳も暫くは帰らないし、ご一緒します。昴さんご苦労様。あなたもどう?」
通信機で昴に話し掛けた。
1人お留守番していた昴。
「いえ、ちょっと用事があって…」
「美里さんね? 頑張ってくださいな」
「えっ? そ、そんなんじゃ…って言うか、読まないでくださいよ、紗夜さん💦」
「読まなくても、皆んな知ってるわ」
ラブが割り込む。
「あ…ラブさん。お疲れ様です💦」
「美里さんをヨロシクね!」
「だから違…」
通信機を切った2人。
「こらぁラブ! 無視するな〜」
「ごめんごめん凛。紗夜さんも連れてくわ」
「は〜い」
「ところで凛、新龍会の補修費、もの凄く高かったけど、何をやらかしたのよ?」
「えっ? あぁアレね。あれはT2が…あっしまった💦 ナイショねナイショ」
「だと思ったわ💧 了解。10分で行くわ」
電話を切った。
「10分って?」
「ヘリなら直ぐよ」
もうエレベーターに乗り込む2人。
飲みに行くのに、ヘリ…と呆れる紗夜。
「しかし…豊川さん。デッカい印だったわね〜」
「私もビックリしました」
「あんな目立つ印なら、警察が放っておく訳ないのにね。バレるかとヒヤヒヤしたわ」
「さすが女優のラブさん。彼は完全に信じてましたね。さぞかし大事に雅さんを育てるでしょう」
「エキストラ達のおかげよ。咲さんだけは、マジっぽかったけどね💧」
本来の姿に戻った雅。
その心には、一点の曇りも無かった。
また爆弾は、豊川が書き足したものであり、全ては、ラブが作り上げたシナリオであった。
「花山さんの台本にない演出には驚いたわ」
出番をワクワクして待っていた花山。
ふと、彼なりにダメ出しを思い付いたのである。
笑いながらヘリに乗り込み、新宿のヒルトン東京へと、飛び立って行った。
The end of Tokyo 〜終焉〜 完結
✨心譜✨
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