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復帰
あれからおじいさんは、娘と少しずつ距離を縮め、わたしは両親との確執を埋めていきました。そして、変なプライドを捨て、もといた会社に戻して貰えるように努めました。
「心配だわ。あんな変な形で会社を辞めてしまったもの。きっと、白い目でみられてしまうわ」
「大丈夫、わたしが側にいるじゃない」
乾さんが頼もしく、励ましてくれました。
約2年ぶりに、帰って来た職場は、懐かしいような、息苦しいような心地がして、とても居心地が良くありませんでした。
「‥‥やっ、約二年ぶりに、あ、あの、こちらの会社に戻ってくることになりました、柏原 都と申します。‥‥あ、あの、よろしくお願いします」
緊張でガチガチにかたまり、案の定どもってしまいました。クスクスクス。小ばかにした笑い声が聞こえてきて、そちらを向くと、案の定高知先輩でした。高知先輩のこういうところが、わたしは本当に嫌いなのです。
このままだと、また二年前とおんなじよ。
わたしはお腹に力を入れました。
仕事中も、極度の緊張で、凡ミスを連発するわたしに、ひたすら高知先輩は手厳しい言葉を投げかけてきました。
「あんた、やる気あるの」
「嫌ならまた、出て行って」
恐怖でまた、大柄な体を縮こませて、ビクビクするも、お守りに持っていた、ポケットの中の梅の実が、力をくれました。
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