復帰

1/2
前へ
/15ページ
次へ

復帰

 あれからおじいさんは、娘と少しずつ距離を縮め、わたしは両親との確執を埋めていきました。そして、変なプライドを捨て、もといた会社に戻して貰えるように努めました。 「心配だわ。あんな変な形で会社を辞めてしまったもの。きっと、白い目でみられてしまうわ」 「大丈夫、わたしが側にいるじゃない」  乾さんが頼もしく、励ましてくれました。  約2年ぶりに、帰って来た職場は、懐かしいような、息苦しいような心地がして、とても居心地が良くありませんでした。 「‥‥やっ、約二年ぶりに、あ、あの、こちらの会社に戻ってくることになりました、柏原 都と申します。‥‥あ、あの、よろしくお願いします」  緊張でガチガチにかたまり、案の定どもってしまいました。クスクスクス。小ばかにした笑い声が聞こえてきて、そちらを向くと、案の定高知先輩でした。高知先輩のこういうところが、わたしは本当に嫌いなのです。  このままだと、また二年前とおんなじよ。 わたしはお腹に力を入れました。  仕事中も、極度の緊張で、凡ミスを連発するわたしに、ひたすら高知先輩は手厳しい言葉を投げかけてきました。 「あんた、やる気あるの」 「嫌ならまた、出て行って」  恐怖でまた、大柄な体を縮こませて、ビクビクするも、お守りに持っていた、ポケットの中の梅の実が、力をくれました。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加