2年目

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季節は、春から夏に変わり始めた頃。 今、僕はエモナちゃんのイタズラによってピンチの状態だ。 ガキ大将のカインが僕を追いかけている。 僕は全力で走って逃げているが、このままでは直ぐに追い付かれてしまう。 そもそもの始まりは、村の中を散歩していたら、僕とカインとエモナちゃんの3人が同時に出会った瞬間、それは突然始まったのだった。 「ゆきのふくんが、カインくんの悪口を言ってたよ」と唐突にエモナちゃんがカインに嘘を言ったのだ。 カインは僕をギロッと睨み付けると「ぶん殴ってやる!!」と怒鳴ったので慌てて逃げたのだ。 逃げずに言い訳をしたら良かったのか? いや、アイツが俺の話なんて聞く訳が無い。逃げるしか無かったのだ。 エモナちゃんは、俺を指差しながら大声で笑っている。 エモナちゃん、イタズラ成功だね! いやいや、成功だね!じゃない。こっちは無実の罪によって裁かれ、いや、しばかれそうだ。 結局、カインに追い付かれて頭を一発殴られた。 メチャクチャ痛かったけど、たんこぶ出来てないよな?うん、今のところ大丈夫そうだ。 カインは俺を殴ったあと、冷静になったようで、俺に「ごめん」と謝っていた。 エモナちゃんが居た方を見ると、エモナちゃんの姿は無かった。あいつ、逃げたな。 後で僕に謝らせよう。 家に帰って自分の部屋で寛いでいると、僕の家にエモナちゃんが来た。 僕が玄関から出ると、シュンとしたエモナちゃんが居た。 エモナちゃんは反省しているようだ。珍しいな。 エモナちゃんは心配そうに、殴られた僕の頭を恐る恐る触る。やっぱり少し痛い。 「タンコブになってる」 そう言われると、コブが出来ているように思える。 「ゆきのふくん。腫れた所には、オシッコを掛けると治るって聞いたけど、試してみる?」 えっ?そうなの?初めて聞いたような気がする。でも、何かにオシッコを掛けると良いって聞いたような気もするけど、エモナちゃん、それ本当? 「ゆきのふくん、ちょっと試してみようよ?」そう言ったエモナちゃんは、僕の手を掴むと家の裏側に僕を連れて行く。 辺りは、家庭菜園と密度の低いスカスカな雑木林しか無く、この付近には僕とエモナちゃんしか居ない。 「このビンにオシッコ入れるから、使ってみて」と言ったエモナちゃんは、スカートの脇から両手を中に入れるとパンツを降ろしながら、その場にしゃがんだ。 僕もエモナちゃんの動きに釣られて一緒にしゃがむ。 地面に置かれたビンの中にジョロジョロと音を立てながら液体が溜まっていく。 ビンの周りは、跳ね上がった小さな粒が地面に落ち、小さな水玉模様が出来ていった。 これは興味深いな。 地面スレスレの位置から眺めていたホカホカのビンから視線を少し上げると、去年の夏に川で見た時と変わらない様子のエモナちゃんの女の子の部分が見えた。縦に1本のスジがピッタリと閉じている。ああ、スジを拡げて中身を見たいな。 ビンの中へと落ちるシズクが途切れたか途切れていないか微妙なところでエモナちゃんは立ち上がり、降ろしていたパンツを上げてスカートを直している。 「ふきのふくん、お大事に!!」 エモナちゃんは恥ずかしそうに頬を赤く染めながら走り去った。 これを僕に? タンコブは、そんなに痛くないから、こんなのを掛けなくても治るだろう。 起き上がってタップリと中身が入ったビンを指で摘まんで持ち上げると、近くの畑に向かって歩く。 畑に着くまでにビンの中身は少し溢してしまい、最初より減っていた。 『クエスト達成 100ポイント獲得』 んー、口を濯ぎたい。ビンから溢れるのを見て、咄嗟に勿体無いと思った貧乏性の自分に呆れてしまう。 畑にジョボッジョボッとビンの中身を捨てると『特殊クエスト達成 100ポイント獲得』の文字が見えた。 ああ、そう言えば、そんなのもあったな。忘れてた。
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