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今日は、硬い木の棒を1本持って、僕1人で村の外に出た。
母に肉料理を食べさせたいので、魔物を狩るつもりだ。
狙うのは、ウサギ型の魔物で、名前は『ショートヘア』
ウサギ型なのに耳が短いのが、その魔物の特徴。
見た目は可愛いけど、魔物だから人間を襲って来る。でも、弱いので簡単に退治出来るところが狩りに丁度いい。
噂で聞いた話では、ここから遠い国に、人間の女性に近い見た目をしたウサギ型の魔物が存在するらしい。名前は『キューティバニー』と呼ばれているそうだ。1度は見てみたいな。
そうだ!!今度、女の子と遊ぶ事があったら、ウサギの耳に似た髪飾りを着けてもらおう!
可愛い女の子なら、みんな似合うと思うぞ。
母がウサギの耳に似た髪飾りを持ってるので、女の子と遊ぶ日に借りてみるかな?
『女の子と遊ぶ日があるなら』だけど。
同い年の女の子たちが、ウサギの耳に似た髪飾りだけを身に付けて、ウサギのようにピョンピョンと跳ねている姿を想像していたら、ウサギ型の魔物『ショートヘア』が木の陰から1匹現れた。
体長は約30センチで、耳の長さは約10センチ。ピョンピョン跳ねながら僕の方に向かって来る。僕が想像していた女の子の姿よりも可愛くない。
『ショートヘア』は、秋の収穫祭前に戦ったネズミ型の魔物『ロックラット』よりも動きが遅い。
しかし、僕が全力で走るのと変わらない速さかも知れない。
手にしている硬い木の棒を向かって来たショートヘアに振り下ろす。
ピョーン
ショートヘアは僕の直前で進行方向を変えて、攻撃を避けた。
おぬし、なかなかやるな。
地面を思い切り叩いた衝撃が僕の両手に伝わって激痛を感じると、後から痺れが来た。
再びショートヘアが僕に襲い掛かって来 る。
僕は咄嗟に片足を前に出すと、足の裏にショートヘアが当たって地面に落ちた。
ショートヘアの動きが止まった?チャーンス!!
見た目はアレだが、仕留める事に成功した。
よっしゃー!!『お肉』ゲットなんやでぇー!
退治したショートヘアの耳を掴んで小川に向かう。
美味しいお肉を食べるには、直ぐに肉を冷やすのと、血抜きをしなければならない。
僕は、あまりやりたくないが、母さんの為だと思って頑張るしかないのだ。
仕留めたショートヘアを川でジャブジャブ洗うと、傷口から血が流れて行く。
毛に元々付いていた汚れも落とす。綺麗になるまでしっかりと洗えば、毛についたノミやダニなどの寄生虫も居なくなる。
肉を解体している最中に、ノミがピョンピョン跳ねていたら嫌だから、念入りに洗う。
それに、時間を掛けて洗えば肉も冷えるので丁度良い。
ショートヘアの体も冷えて、毛も綺麗なったので川から出る。
皮を剥いだり肉を解体するのは母に任せる事にした。
だって、内臓とかがデロンと出るのを見るのって、イヤでしょ?
僕はイヤなので、大丈夫な人に任せるのが正解だと思う。大丈夫だよね?母さん。
全身がビショビショに濡れているショートヘアの耳を掴み、ショートヘアからポタポタと滴を垂らせながら村に戻って家に帰った。
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