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「なあ、降りてきてくれ!」
「いいえ、ここから降りてはいけないの。でも声は聴こえるでしょう?」
「美咲! 美咲! 逢いたかった。逢いたかったんだ!」
「カケルぅ、私もよ。愛してるわ、カケルぅ」
翔は美咲を腕に抱けない焦燥を感じた。叫びだしたい衝動を抑えながら言った。
「美咲! 黄泉の国で暮らしているのか?」
「ええ、そうよ。翔が探しに来たってすぐ分かったのよ。いつも翔を想っているから」
「美咲! 帰ろう! 俺と東京に帰ろうよ」
「できない。翔、秘密を教えるわ。私は、札幌で育ったわけじゃないの。7年前に黄泉の国から蘇って、東京で貴方に出会ったのよ。7年間だけという約束で黄泉津大神に許しを貰ったの。だから、私が去年死ぬのは必然だったの」
「そうだったのか! 俺から黄泉津大神にお願いするよ、黄泉の国へ案内してくれ!」
「翔、私はもう人間界に二度と戻ることはできないのよ」
「どうして?」
翔は眉を寄せた。握った拳がぶるぶると震えた。
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