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1.生い立ち
ちっちゃな頃から父子家庭。15で不良と呼ばれ・・・なかったけれど、18の時に父が他界した。校舎のガラスを割ったわけでもないし、盗んだバイクで走ったわけでもないのに、18の夜にである。
「これも15だよ。」
寛太に言われて、私は、寛太が眺めているパソコンの画面を覗き込んだ。
「どれ?」
「盗んだバイクも15だよ。15の夜。」
「そうなんだ。じゃ、父が死んだの15の時だったってことにしようかな。」
「修正すべきはそこじゃねーぞ、と心の底から言う。」
「せっかくいい歌詞なのに。」
「そもそも、自分の生い立ちを歌詞の引用で書こうとするのが間違ってるんだよ。」
今、寛太が読んでいるのは、私の書きかけのレポートだ。
単位稼ぎで取った生活史の講義で、庶民層の歴史を学ぶのかと思ったら、『自分史』というテーマで、よりミクロな歴史を学ぶ場だった。
想定外ではあったけど、順番にレポート発表される同期の生い立ちを読むのは面白かった。
そして大学1年目の前期も終わりが近づいた今、私の順番が回ってきてしまった。
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