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途端に、草間さんの顔から笑顔が消えてその両目から涙から流れた。
「ごめん、ごめんね。でも、抱きしめさせて。」
そう言って、草間さんが私を抱きしめた。
「ありがとう。君はいい子だ。」
「どういたしまして。」
「間違いなく、園田さんのお嬢さんだ。」
「はい。間違いないです。」
私を抱きしめたまま、草間さんが泣きながらクスリと笑う。
「大学、決まっているんだってね。」
「はい。」
「ここ、賃貸なんだってね。」
「はい。」
「進学は諦めて、就職しようと思ってる?」
「はい。」
「大学、行きなさい。学費も家も生活費も、私が用意するから。」
私はゆっくりと草間さんから体を離し、じっと彼を見上げた。
「はい?」
「園田真尋さん、僭越ながら、園田格司さんに代わって、私があなたの保護者になりましょう。」
「・・・はい?」
「『お父さん´』くらいにはなれると思うんだ。」
「ダッシュ・・・似ているもの?」
「劣るけれど、似ているもの。」
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