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「ううん。いいの。アイデアありがとう。どうにか指定の文字数埋められそう。」
途端に寛太がムッとした顔をした。
「マジで聞いてなかったな。俺の話。」
私はクスリと笑って視線を寛太から外した。そして文字にするため、父の最期をゆっくりと丁寧に思い出してみた。
ちっちゃな頃から父子家庭だった。18の時に父が他界した。
交通事故で、突然で、あっけなかった。私が病院に着いた時には、もう息を引き取っていた。
ボールを追って飛び出した子供がトラックにはねられそうになり、助けようと飛び出した父が代わりに跳ねられた。
漫画やドラマではよくあるけれど、『実際にはそんなにすぐに動けないよね』とか、『動けても車相手じゃ間に合わないよね』とか思っていたのに、父はすぐに動けて、車相手に間に合ったらしい。子供は掠り傷だけですんだのも、まるで作り話のようだった。
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