170人が本棚に入れています
本棚に追加
男の子が嗚咽しながら、話してくれた。
「おじさ・・・痛そうなのに笑ってた。自分は足曲がってるのに・・・『だいじょうぶかー?けがしてないかー?』って・・・。」
ご両親がむせび泣き、私もしゃくりあげながら話を聞いた。私たちがまともに声も出せない中、男の子だけがしっかりと、私に父の最期を伝えてくれていた。
「きゅう・・・救急車、乗る・・・とき、おじさんのこと・・・見てたら、また・・またピース・・・してっ・・・」
男の子が苦しそうにしゃくりあげ、私は必死に彼の背中を撫でた。男の子が一生懸命に深呼吸をして息を整えると、また話した。
「『元気に、大きくなれよ。そしたら、おじさんと酒飲もう。』って。」
男の子がワッと泣き出し、私は彼を抱きしめた。男の子は泣きながら、それでも私に伝えてくれた。
「おじさん・・くるし、苦しそう・・だった。すごく・・・。痛そうだった!大丈夫って言ってたのに、死んじゃった!死んじゃったぁ!!ごめ・・・ごめんなさい!ごめんなさいっ!!」
私たちは泣きながら、しっかりと抱き合った。その体制のまま、私は首を横に振った。
「大丈夫。謝らないで。大丈夫!!」
父のように、うまく言えているだろうか。
父が私を安心させてくれたように、この子を安心させられているだろうか。
そう思いながら、「大丈夫」と言い続けた。
最初のコメントを投稿しよう!