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「すごい文字数稼げたでしょ?」
パソコン画面をジッと見ている寛太に背後から言うと、寛太が涙でぐしゃぐしゃの顔で振り向き
「文字数とかの問題じゃないから!」
と怒った。
「文字数を稼ぐための悪戦苦闘なんだけど?」
と言うと
「あほか!」
と罵られ、プイっとそっぽを向かれてしまった。ティッシュを取って、うるさいくらに音を立てながら寛太が鼻をかむ。
私はその背中を見ながらため息をついた。
「でもさ、それって私の生い立ちとはちょっと違うよね。」
「これは、レポートなんかに文字数稼ぎで披露する話じゃない。」
寛太がグズグズと鼻を鳴らしながら言った。
「えぇ・・寛太が父の事書けって言ったのに。」
「こんな場面書くと思って言ってないよ。」
「じゃあどうしよう。スペース埋まらない。」
「知るか。自分で考えろ。」
提案しておいて、ぷりぷり怒っている寛太がおかしくて、私はクスリと笑ってしまった。
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