実は被害者なんて、ことはない

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 「私が招待したの。和真がほんとに嵌められただけなら、このまま負けっぱなしは気分悪いでしょ」  やはり友里菜は頼りになるな、と心の中でつぶやく。あおいちゃんとそこまで親しくなかったのが、今回ばかりは和真にしたらラッキーだったのかもしれない。  「今ね、どうしてこうなったのか整理してたの」  「こうなった…」  友里菜が、俺たちの整理した状況を、あおいちゃんにわかりやすく説明していく。  「アリバイ作りだと思います。ゲームをやっている間はフリーなので、その間を狙ってるとか、思われないためのアリバイ工作ではないでしょうか」  その時には和真と通話もしてないければ、画面の向こうで誰が何やってても分からないわけだ。  「てことは、足場壊したのもあおいちゃんじゃないかも」  「まぁ、ある程度やったことか見たことあれば、やることとか分かるしな」  何となく見えてきた。  理由までは分からないが、相当和真とは別れたいらしい。  「そこまでするかね」  「学校で仲良くしすぎたんじゃね」  2人はアピールしていた訳では無いが、割と包み隠さずといった様子だったから、付き合っていたことを知っている人も多い。  「まぁ、浮気されたからフッてやった、ってことにしたいんじゃない」  「あの」  控えめに立花さんが参加してくる。  「多分、吉崎さんも―」  3人は立花さんの言葉に耳をすました。
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