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「ねえ」
次の日の朝、奏多に尋ねた。
「どういう時に繋ぎたくなる?」
そう言って、わたしは手を前に突き出した。
奏多は少し考えてから、
「崖から落ちそうなとき」
とニヤリと笑って答えた。
「はーん、いい態度だねぇ、あんた」
わたしは目を細めると、奏多に冷たく言い放った。
奏多は、ひょいと肩をすくめると、
「少なくとも、待ち構えられていると、やりに
くいんじゃない?」
と今度は真面目に答えた。
始めから、そうすりゃいいのに、全く。
わたしは、ふん、とそっぽを向きながらも、奏多の言葉を検討する。
ふむふむ、そうだな、うん、確かにそうか。
「ありがと、何か分かった気がする」
わたしは礼を言うと、奏多とグータッチを交わした。
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