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残り時間は、後十分。
このまま守り切ったら勝ちだ。
誰もが心の中で、そう思ったと思う。わたしも、そう思った。
ほんの少し。ほんの少し、意識が守備に傾いただけ。
それだけのことで、相手の勢いに押されていく。
相手は点を取られて意気消沈するどころか、益々、攻撃的に攻めてきた。
奏多達は守備の意識が強くなってしまい、せっかくボールを奪っても、前に動き出す選手がいない。
パスの出しどころが無くて、仕方なくバックパスを出したところを狙われた。
相手選手はパスを奪うと、そのままドリブルで駆け上がる。
ボールを奪われた選手が、慌てて後を追いかけた。
しかし、中々追いつくことが出来ない。ただ、守備の選手はもう一人いる。
落ち着いて守れば問題ないはずだった。
「あっ!」
思わず声が出てしまった。
追いかけていた選手が、相手の背後からスライディングをした。
その足が、相手選手の足に掛かり、相手が派手に転倒した。
その場所は、ペナルティエリアの中だった。
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