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次の日の朝。
「一応、報告しておく」
並んで歩く奏多に話し掛ける。
「何?」
いつもと変わらず、眠たそうな奏多。
「彼氏ができた」
どうしてだろう、そんな必要もないのに、わたしは、奏多に、その事を告げた。
「……」
しばしの沈黙。その後、
「そう」
とだけ奏多は答えた。
相変わらず、表情から気持ちが読み取れない男だ。
とりあえず、義務は果たした。
何の義務かは自分でもよく分からないけど。
わたしは、何となくすっきりして、二月の凍てつく鈍色の空を見上げた。
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