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帰り道
その日から、一也くんとわたしは、一緒に帰ることになった。
というか、一緒に帰ろうと、わたしから提案した。
前を行く一也くんの右斜め後ろ、出来るだけ近い位置を、わたしはキープする。
手を繋ぎたいなぁ。
手を繋いでくれるかなぁ。
わたしは期待に胸を膨らませながら、一也くんの後を着いて歩いた。
校門を出て大通りを抜けて、比較的、人目の少ない街中の道に入る。
だけど、一也くんは、一行に手を繋いでくれなかった。
その日、結局、わたしたちは、手を繋ぐこともなく、これといった会話をすることもなく、聖者の行進を続けただけだった。
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