最終章『ユーサイキア』

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 "ユーサイキアには時間は"  その大きな意味が今の()にはようやく理解できた(思い出せた)。  もはや、奇跡では呼び表せない奇跡の連続が僕の身へ降りたのも、紛れなく"彼女"のおかげ。  女王(彼女)が己の存在をかけて生んだ奇跡――少女(彼女)が遺した小さな奇跡のカケラ(宝石)は今、俺の左手にある。  だから、今度は(再び)――今度こそ、()が彼女を救う番だ。  「――……」  俺は右手の槍杖と左手の宝石へ力を込めながら、胸に熱い(祈り)を灯して呟く。  途端、槍杖の切先ですら傷一つ付けられなかった水晶花に大きな亀裂が走った――。  「っ――――」  眩い雪色の光に包まれながら砕け散る水晶。  透明な花びらの中から、あの可憐な懐かしい両手と笑顔は俺と背後のディスペラティオを捉えた。 ・
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